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2020年2月20日(木)

きょうの潮流

 「大浦湾のゆたかさは、山・川・海をめぐる水がささえている」。米軍新基地建設で破壊がすすむ沖縄・辺野古の海。アオサンゴの群落やジュゴンの餌の海草など、世界でも貴重な生態系は背後の山や川の恵みがもたらしている▼『わすれたくない海のこと 辺野古・大浦湾の山・川・海』(中村卓哉著、偕成社)にありました。その山はともに標高330メートルほどの辺野古岳と久志(くし)岳。隣接する二つの山は、最近まで地元の人も多く訪れていました▼いまその入り口に鉄条網が張り巡らされ、入山できなくなっている―。日本勤労者山岳連盟の総会で沖縄の代表が怒りを込め告発する姿がありました。久志岳の大浦湾側は米軍の実弾演習場があるものの、その反対側に登山口があり、登ることができていたにもかかわらず▼ある事件がきっかけでした。一昨年6月、登山口に近い集落の民家で銃弾がみつかりました。米軍は当初、かたくなに認めなかったものの、後に自分たちの仕業と認めます。「鉄条網はそれ以降」と同県の山岳関係者。仕返しのようなやり方に怒りがわいてきます▼近隣の宜野座村には村のシンボルとされるガラマン岳があります。ここは米軍演習場で入山できません。年に1度、地元小学校の親子登山が許可されるだけ。沖縄にはそんな山が珍しくありません▼人は自然から学び、感性を育み、恵みをもらいます。しかし、米軍はそのつながりを一方的に断ち切り、自然をも破壊する―。沖縄の理不尽な現実をまた一つ垣間見る思いです。


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