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2020年2月18日(火)

論戦ハイライト

公立・公的病院再編統合問題 高橋議員の質問

地域無視のリスト撤回を

医師不足の解消こそ

 17日の衆院予算委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は、厚生労働省が再編統合の議論を求める全国424の公立・公的病院名を昨年9月に公表した問題で、地域の実情や努力を無視した機械的な病院名リストは撤回すべきだと追及。地域医療を深刻化させている医師不足の解消こそが必要だと迫りました。


写真

(写真)質問する高橋千鶴子議員=17日、衆院予算委

 病院名の公表をめぐっては、厚労省が、統廃合や病床削減を行う病院に全額国庫負担の新たな補助金を1年限りで出すことを20年度予算案に盛り込んでいます。高橋氏は、医療現場や地域に対して統廃合や病床削減の決断を迫る厚労省の手法は「露骨だ」と厳しく批判しました。

財界主導の削減

 加藤勝信厚労相は、病床削減を進める地域医療構想の「当初の姿にならないとの指摘があった」と答弁。「だれの指摘だ」とただした高橋氏に、経済財政諮問会議での指摘だと認め、病院名公表や財政支援で財界主導の医療費削減を進める姿勢をあらわにしました。

 公表された病院の分析基準には全国から批判が集中しています。基準は「脳卒中や救急などの診療実績が特に少ない」「似ている診療科が近くにある」の2点ですが、厚労省の分析データが古いうえ、雪道や山道などの地域の特性を無視しているからです。

 高橋氏は、リストで名指しされた岩手県奥州市の国民健康保険まごころ病院を紹介。48床の小規模病院ですが、月約130件の訪問診療に取り組み、がんを早期発見した患者を近隣の医療機関につなげるなどの役割を発揮しています。

 高橋氏は、救急など高度医療だけで分析するのではなく、行政や法人と病院が連携しているのは、厚労省が提唱してきた「地域包括ケアシステム」そのものであり、ここを大いに評価すべきだと強調しました。

 そもそも厚労省は2014年当時、病床削減や再編を迫る強制力としての「医療機関名の公表」について「懐に武器を忍ばせている」「実際に使うことを想定しているわけではない」と高橋氏の質問(4月23日)に答えていました。高橋氏は「まさにいま刀を抜いた」と声を強めました。

 厚労相 この答弁は勧告に従わないときの制裁という意味だ。

 高橋 制裁としてやる予定だった名前を今回出した。

 厚労相 (リストで)個々の地域の事情すべてを反映はできないので、地域でよく議論してほしい。

 高橋 それならリストは撤回すべきだ。

抜本増員求める

 続けて高橋氏は、「地域医療が深刻化している最大の要因は医師不足だ」と追及しました。北海道の場合、21の圏域のうち人口10万人対医師数の全国平均を超えているのは札幌と旭川の2カ所だけで、絶対数が足りないのは一目瞭然です。医師が足りないから患者は都市部に集まり、過疎化につながる―。高橋氏は「地域医療は地域経済や、地域の未来にとっても重要だ」と認識をただしました。

 しかし、安倍首相は過疎化にはならないと居直り、医師が都市部に集中する「偏在是正が重要だ」と述べるにとどまりました。

 「偏在是正だけでは問題は解決しない」と強調した高橋氏。統廃合しても統合病院への患者の集中で多忙化し、医師が集まらない事例を示し、さらなる統廃合や病床削減へと悪循環になる懸念を表明。新型肺炎対策を考えても公立・公的病院を守る必要性を訴えました。

 さらに、医師の4割が過労死ラインを超えた長時間過密労働を強いられていると告発。「なぜ命を守る医師が、自らの命をけずってまで働くことを認めるのか」と述べ、医師の需給について検討しているいま、抜本的増員をすべきだと求めました。


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