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2020年1月30日(木)

きょうの潮流

 千葉県野田市で小学生の女児が虐待によって死亡し、父親らが逮捕された事件から1年がたちました。このほど専門家による検証報告書がまとまりました。市や学校、教育委員会、児童相談所など関係機関に多くの問題があったことを指摘しています▼女児は学校のアンケートに「お父さんにぼう力を受けています」と書いていました。しかし、「周りのおとながその声に応えなかったせいで、その後、二度と訴えることをしなくなってしまった」と報告書は述べています▼救えたはずの命でした。報告書は「子どもを守り通す組織がつくられていくことを切に望む」と結ばれています。虐待に対応する専門の職員の大幅増員などを政治の責任で進める必要があります▼先日、児童虐待をテーマにしたあるシンポジウムで、息子を虐待してしまった男性の話を聞きました。中学受験に合格させようと、塾に行ってもなかなか成績が上がらない小学生の息子に毎晩遅くまで勉強させました。間違えると怒鳴り、殴る。包丁を突きつけたこともありました▼男性自身、会社で1時間も2時間も怒鳴られ続け「結果を出さなければだめだ」と努力を否定される日々。「息子にも厳しい社会に負けない力をつけさせなければと思った。殴ってでも勉強させるのが正しいと思っていた」▼激しい競争と人権無視の中でおとなが追い詰められ、そのおとなが子どもを追い詰める。虐待自体を生まない世の中をどう実現するか、社会全体の見直しが求められています。


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