しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年1月28日(火)

きょうの潮流

 源流をたどっていけば伝説の時代にさかのぼります。大和国(奈良県)で力比べをした当麻蹶速(たいまのけはや)と野見宿禰(のみのすくね)。『日本書紀』が伝える対戦が相撲の起源として広く知られています▼“発祥の地”からおよそ100年ぶりに優勝力士が誕生しました。番付がすべての世界で一番下の幕尻から20年ぶりの下克上。十両から復帰した場所での優勝も初と、異例ずくめの快挙を成し遂げた徳勝龍です▼横綱不在とはいえ最後は見事に大関を破って堂々の14勝1敗。土俵でむせぶ姿や笑いあり涙ありのインタビュー、ぎこちない表彰式は初々しく、人間味があふれていました。場所中、弱気になるたびに顔が浮かんだという近大の恩師の急死も勝利を後押ししました▼「自分なんかが優勝していいんでしょうか」。素直な実感はまた、今の角界を象徴するかのようです。これで平幕の優勝は3年連続。絶対的な存在がなく、上位陣も不調のなか、だれもが優勝杯を手にできるご時世です▼それは群雄割拠というより、どんぐりの背比べと評すべきか。けがの多さや相次ぐ休場はけいこや地方巡業、ひいては大相撲のあり方までを問い直しています。若手の成長とともに、初土俵から11年も休むことなくこつこつと務めてきた徳勝龍のようなベテランの健在が全体の活況にも▼33歳5カ月、日本出身では最年長となる優勝はすべての力士に勇気と希望をあたえました。「もう33歳じゃなくて、まだ33歳だと思ってがんばります」。意味も味もある過渡期の栄冠でした。


pageup