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2020年1月16日(木)

2004年綱領改定案の報告者

不破哲三代議員(社会科学研究所所長)の発言

 2004年の日本共産党第23回大会で綱領改定案を報告した不破哲三代議員(社会科学研究所所長)が、党大会2日目の討論でおこなった発言を紹介します。


写真

(写真)発言する不破哲三代議員=15日、静岡県熱海市

 代議員および評議員のみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。不破哲三でございます。(拍手)

 私は、党綱領一部改定案の問題について発言をしたいと思います。

世界情勢の基本的とらえ方について

世界の構造変化が生み出した核兵器禁止条約

 第一の点は、世界情勢の基本的な捉え方にかかわる問題です。

 2004年の大会で採択した現綱領は、世界情勢の章の冒頭の節で、20世紀の最大の世界的な変化として「植民地体制の崩壊」を挙げ、百を超える国ぐにが新たに政治的独立をかちとって、主権国家となったことが「世界の構造」を大きく変えたことを指摘しました。現綱領のこの確認は、その後の国際政治の進展のなかで、みごとに実証されました。

 今回の綱領改定案が、この間の平和と社会進歩の方向への前進の最大の成果として挙げている核兵器禁止条約の成立は、まさに世界のこの構造変化が生み出したものであります。

 2017年に成立したこの条約は、年々署名国、批准国を増やして発効の日が近づいています。しかし、その現状を国別に見ると驚かざるを得ません。現時点で署名国は80、批准国は34にのぼっていますが、署名国も批准国も、バチカンとオーストリアおよびヨーロッパと太平洋の諸小国以外は、すべてアジア、アフリカ、ラテンアメリカの国ぐにであります。

 被爆国日本を含め、発達した資本主義の国ぐにの政府の多くは、世界平和をめざす人類的な意思に背を向けているのであります。

 この事実には、植民地体制の崩壊が引き起こした世界政治の主役の交代がはっきりと表れているではありませんか。(拍手)

規定削除は中国の対外活動の当然の結論

 現綱領は、続く節で、世界における社会主義への動きを分析し、ソ連覇権主義の崩壊の過程を解明したあと、「人口が13億を超える大きな地域」で、「社会主義をめざす新しい探究」が開始されたことを指摘していました。これは、中国を念頭に置いた規定でした。

 中国の政権党である中国共産党は、毛沢東時代の1966年以来、日本の革命運動を自分たちの支配下に置こうという覇権主義をむき出しにして、わが党に対して野蛮な干渉攻撃を加えてきました。わが党は60年代、70年代に、全党を挙げての反撃で、これを完全に粉砕しました。

 1976年の毛沢東の死後、干渉攻撃はやや収まりましたが、後を継いだ中国指導部が自分たちの誤りを認めようとしなかったために、党関係断絶の状態はそれからさらに20年以上も続きました。

 干渉攻撃が始まってから32年たった1998年、中国共産党の指導部から、干渉行為の反省をするという意思表示がありました。そして、その年6月の両党会談で、中国共産党代表は自分たちの誤りを全面的に認め、中国側が32年前からの干渉行為について「真剣な総括と是正」を行うこと、今後もその態度を堅く守ることを「合意」文書に明記して、両党関係を回復したのでした。

 私たちはソ連との間でも、干渉を受けソ連側が最後に「反省」文書でことを解決する、こういう経験を何度も持っています。しかし、98年に中国側が示した干渉主義への反省の態度表明は、国際的にも過去に前例を見ないほどきっぱりしたものでした。そしてそれ以後、この「反省」を基礎に、両党関係を正常化する努力が続けられたのでした。

 現綱領における先の規定は、この時期に行われたものであります。

 しかし、その数年後に事態が変化しました。2008年12月、機関銃で武装した中国の公の船団、いわゆる公船団ですが、これが日本の領土である尖閣諸島の領海を侵すという事態が起こったのであります。最初は偶発的な事件かともみられましたが、その後、中国の侵犯行為は拡大する一方でした。この根底にあるのは、国際的な道理も、他国の主権も無視した領土拡張主義にほかなりません。この領土拡張主義は、いま南シナ海方面、東南アジアではよりあからさまな、かつより乱暴な形で発動されています。

 尖閣諸島への無法なこの行動は、1998年の両党会談で過去の干渉行動に対する反省の態度を表明した、その同じ指導者のもとで開始されたものでした。その事実に直面して、私は、98年の会談で示された大国主義、干渉主義への反省が、中国の党にとってはすでに過去のものとなったことを痛感したものであります。

 不法な大国主義的行為は、それにとどまらず、対外活動の多くの分野で中国の現実の行動となって表れています。ある国が、対外活動で、「社会主義の道にそむく」活動を多年にわたり多方面で行っているということは、その国の国内での活動についても、「社会主義をめざす」ものと判断する根拠を、失わせるものであります。

 綱領改定案が中国を「社会主義をめざす」国として特徴づけた部分を削除したのは、中国自身の多年の対外活動からの当然の結論だということを強調したいと思います。

「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」について

 綱領改定案で注目したい第二の点は、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」、こういう提案報告の規定であります。

新たな覚悟と世界の最前線に立つ開拓者の喜び

 これは、マルクス、エンゲルスの時代から、いわば当然の見かたとされた問題です。しかし、これまでは、資本主義的発達の遅れた状態から出発して社会主義をめざしつつある国が、いわば世界史的な流れとして存在していたために、簡単にその断定を繰り返すわけにいかない状況がありました。

 今日では、その状況が根本から変わりました。今後も資本主義の発展の遅れた状態から社会変革の道へ踏み出す国は、当然ありうるでしょう。しかし、旧ソ連や中国の経験は、それが多くの困難を伴う道であり、挫折や変質の可能性が大きくある道であることの、何よりの実証となりました。

 私は、提案報告が提起した、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」、この規定は、私たちに新たな覚悟を求めると同時に、世界の最前線に立つ開拓者としての新たなよろこびと決意を呼び起こしていることを、強調したいと思います。

 現在の世界の運動の状況をみますと、世界の共産党の内部にはソ連依存主義が強かったために、ソ連の崩壊とともに多くの共産党が解体したり、弱体化したりしました。一方、資本主義の危機が進行するなかで、資本主義に代わる次の体制として「社会主義」をめざす新しい運動もさまざまな国でさまざまな形で起こっています。

 資本主義世界のそうした運動状況の中で、日本共産党が「発達した資本主義国での社会変革」の運動の最前線に立っていることは間違いないことであります。そういう歴史的位置にある国で社会変革をめざす党として、党綱領が示す社会発展の段階的任務を確実に成し遂げながら、多数者革命の大道を確信を持って前進しようではありませんか。

マルクス、エンゲルスの遺訓は「民主共和制」

 綱領改定案は、その最後の部分で、“社会主義的変革が、資本主義のもとでつくりだされた諸成果を継承、発展させることによって実現される”とし、継承されるべき資本主義の諸成果の内容を五つの項目で具体的に指摘しています。これらはすべて、マルクス、エンゲルスが力説したものです。しかし、これまで社会主義的変革の事業に取り組んだ一連の国ぐにでは、ほとんど無視され、そのことが、これらの国の諸変革を、社会主義とは異質の道に導く重要な要因の一つともなったのでした。

 一例を挙げましょう。改定案は、引き継ぎ発展させられるべき資本主義の遺産の一つに、「自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験」を挙げています。

 マルクス、エンゲルスは若い時代、1848年にドイツで革命が起こったとき、この革命が実現すべき綱領的要求を直ちに発表しました。その冒頭に掲げたのが単一不可分の共和国という旗でした。あえて単一と呼んだのは革命前のドイツが大小多数の国からなる連邦国家だったからであります。

 その四十数年後にエンゲルスは当時を思い返しながら次のように語っています。

 「マルクスと私とは、40年も前から、われわれにとって民主共和制は、労働者階級と資本家階級との闘争が、まず一般化し、ついでプロレタリアートの決定的勝利によって、その終末に到達することのできる唯一の政治形態であるということを、あきあきするほど繰り返してきているのである」

 エンゲルスはほぼ同じ時期の発言で、民主共和制はプロレタリアートの政権の「特有の形態」である、とも言っています。

 マルクス、エンゲルスのこの遺訓は、これまでの一連の革命では、しばしばまったく無視されました。スターリンによって、反対政党の存在や活動を認めず、社会主義の名のもとに一つの党による政権の独占、これを憲法上の制度とするという、社会主義とは無縁の反民主主義の政治体制が持ち込まれました。こうした専制的な政治体制は、マルクス、エンゲルスの遺訓とはもちろん、人類社会の未来をひらく社会主義・共産主義の事業とも本来、まったく無縁なものであります。

 党綱領は、日本における社会変革の前途を、段階的発展と多数者革命の路線にもとづいて展望しています。ですから、社会主義・共産主義への社会変革を今日ただいまの当面の課題として追求するものではありません。しかし、当面の課題で多数者を結集する上でも、日本共産党が最終的にどんな社会を目指しているのか、このことについて多くの人々の理解を得ることは、大変重要な、不可欠とも言うべき課題です。

 この角度からいっても、綱領一部改定案に改めて定式化された、「発達した資本主義の国での社会主義・共産主義」の展望がきわめて大きな意義をもつことを強調して、私の発言の結びとするものであります。どうもありがとうございました。


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