しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年10月26日(土)

全学年で球数制限

中学硬式野球初 ポニーリーグが導入

写真

(写真)会見する(左から)古島弘三医師、知名朝雄代表理事、広沢克実理事長、那須勇元専務理事

 中学硬式野球の全国組織「日本ポニーベースボール協会」(広沢克実理事長、75リーグ加盟)は25日、都内で会見を開き、投球数制限を含む新規定「PONY SUPER ACTION 2020」の制定を発表しました。

 同協会のポニーリーグは今年から1年生の投球制限を実施していましたが、来年から全学年で導入します。中学硬式野球団体で全面的な投球数制限に踏み切ったのは同協会が初めてとなります。

 1試合の投球数は1年生が60球、2年生が75球、3年生が85球までとし、1年生では変化球が禁止されます。1日50球以上投球をした場合、休養日を設けることなども定めています。

 過度な練習も障害を引き起こすことから、野手を含む「週間投球数の目安」が示され、キャッチボールを含む8割強度以上の投球が対象となっています。

 その他、従来の金属バットに比べ打球がより木製バットに近いとされる、国際標準バットの導入も発表。1年生のみが対象で、今後全学年に適用する可能性も言及しました。

 広沢理事長は「子どもたちを安全に次のステップへ送り出すにはどんなことが必要か。いろんなドクターの話やデータを鑑みて投球制限に至った」と新規定導入した理由を説明しました。

 那須勇元(なす・たけはる)専務理事は「スポーツ障害は予防できるものであり、取り組み方法次第でなくすことができる」と強調しました。


鼓動

子どもを守る理念波及を

 球界でまたひとつ改革がはじまります。

 ポニーリーグが、中学硬式野球団体で初めて球数制限など、子どもの健康を守るためのプログラムを発表しました。今回の発表は「プロテクト・アワー・ネーションズ・ユース(国の宝である青少年の成長を守る)」というリーグの理念にもとづく、きめ細やかな内容です。

 学年ごとに球数、変化球の制限をし、段階的に緩和しています。中学1年では変化球禁止によって、打者が有利となるため、バランスをとるため飛びにくいとされるバットの使用を義務付けます。指導、応援をするおとなへのルールも盛り込まれ、試合中の怒声、罵声を禁止し、応援する保護者も対象にした喫煙ルールが設定されています。このように、選手の健康を守りながら野球を楽しむルールとなっています。

 会見に参加した慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は8月の本紙インタビューで、高校球児のけがは小中学生の頃の故障が再発するケースが多いと指摘。骨が弱い成長期の負荷を制限することは、高校以降のけがも減らす効果があります。

 ポニーリーグは甲子園に出場するような強豪高校に進む選手も多い。影響力のある団体が選手の健康を守る改革を進めた意義は大きいでしょう。

 この夏、小学生の野球団体である全日本軟式野球連盟(全軟連)も、主催する全国大会で全選手対象の肩肘検診と投球制限(1人1日70球)を実施しました。全軟連に続くこの改革が、アマチュア野球界にさらなる波及効果をもたらしてほしい。(山崎賢太)


pageup