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2019年10月24日(木)

きょうの潮流

 「12時半、ニューヨーク証券取引所は見学者用の通路を閉鎖した。真下では阿鼻(あび)叫喚が繰り広げられていた」。1929年10月24日、米国市場で株価が暴落。経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスは混乱をこう描きました。世界大恐慌の始まりとされる「暗黒の木曜日」です▼金融市場の暴落は実体経済に波及し、33年の総生産は29年の3分の2に落ち込みました。失業者は1300万人。労働力人口の4人に1人にあたります。恐慌は世界に広がり、日本は300万人を超す失業地獄に陥りました▼当時の米国を見ると今に似た出来事に突き当たります。投資信託ブーム、借金で株を買う投機、バブルが永遠に続くと夢想する投資家、規制に消極的な当局▼米国は金融規制と放任の間で揺れ続けます。33年にグラス・スティーガル法を制定し商業銀行と投資銀行を分離。同法は99年に廃止されましたがリーマン・ショックの後、金融規制法が制定されました。この法を無効化したのがトランプ大統領です▼90年前の「暗黒の木曜日」には民間銀行が株を買い支えました。今日の日本では日銀と年金積立金の二大公的マネーが株価をつり上げています▼5年半で2度にわたる消費税増税は日本経済を疲弊させました。ガルブレイスは、大恐慌前「状況は基本的に健全だ」としか言わなかった政治家や金融業者を著書『大暴落1929』で批判しました。経済の悪化を無視し「景気は緩やかに回復している」と繰り返す安倍政権の姿に重なります。


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