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2019年10月10日(木)

小池書記局長の代表質問

内政・外交の行き詰まりただす

参院本会議

写真

(写真)参院本会議で代表質問に立つ小池晃書記局長=9日、国会内

 9日の参院本会議の代表質問で日本共産党の小池晃書記局長は安倍政権による消費税増税の強行、関西電力の原発マネー還流疑惑、日米貿易協定、沖縄の米軍新基地建設問題などの問題をただしました。内政・外交の幅広い分野にわたる小池氏の追及に対し、安倍首相はまともに答えず、「逃げ」「開き直り」の姿勢に終始しました。

新基地中止・普天間閉鎖

米大統領と交渉せよ

 繰り返し選挙で示された沖縄県民の意思をふみにじり、名護市辺野古への米軍基地建設を強行する安倍政権。小池氏は、米軍新基地建設を中止し、米軍普天間基地の閉鎖・撤去のためトランプ米大統領と交渉することを求めました。

 6月の沖縄全戦没者追悼式で玉城デニー知事は「民主主義の正当な手続きを経て導き出された民意を尊重せず、なおかつ地方自治をもないがしろにするもの」と語りました。小池氏は、デニー知事の発言に触れ、「これでも『県民の負担を軽減する』とか『沖縄の心に寄り添う』などと平気で言えるのか」と迫りました。

 1945年に米軍が住民を強制収容している間に民有地を囲い込んでつくられた普天間基地。小池氏は、「国際法に違反して建設された普天間基地は、無条件返還を求めるのが当然だ」とただしました。

 安倍首相は「国際法に照らしさまざまな議論があることは承知している」と国際法違反を否定できませんでした。一方、日米地位協定で「わが国から適法に提供を受け使用している」として「国際法上も何ら問題はない」と強弁しました。

選択的夫婦別姓

多様性語るなら導入を

 安倍首相が所信表明演説(4日)で「新しい時代に求められるのは多様性」と述べておきながら、選択的夫婦別姓制度について「さまざまな意見がある」(8日)と導入を否定している矛盾を追及した小池氏は、「さまざまな意見があるからこそ、夫婦別姓を選択できるようにすべきだ」と求めました。安倍首相は「国民の意見が大きく分かれている」などと言い訳し、「家族のあり方に深く関わるところであり、国民の大方の理解を得て行うべきもの」と導入に背を向けました。

日韓問題

植民地支配反省が土台

 小池氏は、日韓関係悪化の根底に安倍政権の歴史認識があるとして、「過去の植民地支配への真摯(しんし)な反省の立場を土台にしてこそ、日韓両国間の諸懸案の解決の道が開かれる」と迫りました。

 「植民地支配への反省」を述べた日韓パートナーシップ宣言(1998年)など歴代自民党政権のとってきた立場を引き継ぐのかを追及した小池氏。安倍首相は、歴代内閣の立場を「全体として引き継ぐ」とする一方で、「歴史の問題については政治家は謙虚でなければならず、歴史家や専門家に任せるべきものである」と自らの歴史認識を語りませんでした。

 安倍首相は所信表明演説で、パリ講和会議(19年)で日本が「人種平等」提案をしたことを紹介するなど、日本が植民地支配に反対していたかのように描きました。小池氏は、当時日本が、不法・不当な「韓国併合」で植民地化した韓国で起きた「三・一独立運動」を武力で弾圧した歴史にふれ、「日本が植民地主義に反対していたかのように描くのは、歴史を一方的にゆがめるものだ」と批判しました。安倍首相はこれに答えることができず、韓国に対して「国と国との約束を順守することで日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくることを求める」と答弁。自らの姿勢を棚にあげ開き直りました。

消費税

5%への減税こそ

「何でも消費税」脱却を

 「『デフレ脱却』を掲げながら合計13兆円もの増税を強行するのは支離滅裂な政策だ」

 小池氏は冒頭、安倍政権による消費税10%増税に抗議しました。2014年の8%増税後、家計消費が落ち込んだままだと指摘。「景気回復のために『万全の対応をとる』というなら、5%に減税するべきだ」と求めました。

 日本医師会の横倉義武会長が社会保障財源を消費税だけでなく「新たな税財源についても併せて検討すべきだ」と述べたことに触れ「財源は『何でも消費税』から抜け出す時だ」と訴えました。

どこが「大学無償化」か

 安倍政権が消費税増税を条件にする「大学無償化」の実態を追及しました。

 安倍政権が導入する低所得世帯の高等教育の就学支援制度と引き換えに、国立大学の授業料免除制度が廃止されようとしています。文部科学省の調査によると2万4000人が逆に支援を受けられなくなるか、支援額が減少します。

 今年度から、国立大学の学費値上げも相次いでいます。

 小池氏はこうした事実を突き付け「いったいどこが『大学無償化』か。支援を打ち切られる学生に、どう説明するのか」と迫りました。

 安倍首相は「新制度導入により、対象外になったり支援額が減少したりする場合もあり得る」と認めた上で「継続的な学びを支援する観点からいかなる対応が可能か、来年の制度施行に間に合うように、早急に検討する」と述べました。

医療費まで負担増とは

 小池氏は、政府が「社会保障のため」と消費税を増税しながら、医療費の負担増や年金の給付削減を計画していると告発しました。

 政府は「世代間の公平」を口実に、介護保険の利用料や75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げようとしています。しかし、75歳以上の外来受診率は74歳以下の2・3倍、入院は6・2倍です。窓口負担を引き上げれば逆に不公平になり、健康悪化につながる恐れがあります。

 小池氏は「消費税増税の上に医療費負担を増やすような非道なことは、撤回すべきだ」と求めました。

 安倍首相は「後期高齢者医療制度における給付と負担のあり方についても、適切に検討する」と答えました。

 物価上昇より年金額の引き上げを低く抑える「マクロ経済スライド」によって、基礎年金は自動的に7兆円も削られることになります。

 小池氏は安心できる年金制度をつくるため、高額所得者優遇の見直しや年金積立金を計画的に給付に充てることなどを提案しました。

 安倍首相は「まずは経済を強くすることで年金の財政基盤を確かなものとし、制度改革を推し進める」などと述べるだけ。減り続ける年金への対策を何も示せませんでした。

上げるなら最低賃金を

 「いま上げるべきは消費税でなく、最低賃金だ」

 小池氏は「地域経済を活性化し、一極集中にも歯止めをかける」として、最低賃金の引き上げを求めました。最低賃金を抜本的に引き上げるには、中小企業への支援が必要です。しかし、安倍政権のもとで中小企業予算全体は削減されてきました。

 小池氏は「中小企業からの要望が強いのは社会保険料の事業主負担軽減だ」と指摘。社会保険料への公費補てんの検討を求めました。

 安倍首相は「社会保険料などの人件費を公費で穴埋めするだけでは、生産性の向上につながらない」と、中小事業者の要望に背を向けました。

原発マネー疑惑

関電任せ 対応を批判

 「関西電力関係者を国会に招致し真相の徹底解明のための国会の責任を果たせ」―。小池氏は、関電原発マネー還流疑惑の徹底究明を求めました。

 安倍首相はこれまでの答弁で、「関電による第三者委員会の調査結果を待つ」との姿勢に終始しています。小池氏は、「金品を受け取った当事者たちがつくる第三者委員会は、“第三者”になりえない」と断じました。

 こう迫られてもなお、関電任せの無責任な姿勢に終始した安倍首相。小池氏が「原発事故が起きても責任をとらず、原発マネーを受け取っても言い逃れを図る。こんな電力会社に、住民を危険にさらす原発の再稼働など、認めるわけにはいかない」と力を込めると、議場に「そうだ」の声が飛びました。

日米貿易協定

首相 国益答えられず

 「いったいどこがウィンウィンか」「農業主権、経済主権を破壊する日米貿易協定の国会承認は断じて認められない」―。小池氏は、日米両政府が最終合意した日米貿易協定をこう批判しました。

 日本側が米側に一方的譲歩を重ね、豚肉などの米国畜産物の関税を大幅に引き下げる一方で、米側の自動車・自動車部品の関税削減は先送りされた日米貿易協定。小池氏は「トランプ大統領の一方的なウィンではないか」と迫りました。

 日本農業新聞の調査(4日付)でも、日米貿易交渉について「米国に有利な結果になった」と見る人が66%に達する一方、「日本に有利になった」と見る人は1%にすぎません。安倍首相は、根拠を示さず日米貿易協定が「すべての国民に利益をもたらす」と答えるだけ。日本側のどこがウィン(国益)を得たのかはついに答えられませんでした。

 小池氏が日米貿易協定による日本農業への影響試算について「国会審議前に当然示すべきだ」と求めたのに対し安倍首相は、「できるだけ早く情報提供する」と答えました。

 同協定を最終合意した日米共同声明(9月25日)では、米国に日本の経済主権を売り渡す日米自由貿易協定(FTA)の交渉開始で合意しました。

 これまで、「日米FTAの交渉は行わない」としていた安倍首相。小池氏が「重大な約束違反ではないか」と迫ると、「FTAのような協定を結ぶかも含め、予断をもって申し上げることは控える」と開き直り、同協定の締結を否定しませんでした。


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