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2019年9月19日(木)

改悪旗振り役ずらり

現場の代表者は皆無

社会保障会議 不安な面々

 「誰もが安心できる社会保障制度」を検討するとして安倍政権が設置する新たな司令塔、「全世代型社会保障検討会議」のメンバーが、不安しか抱けない顔ぶれになっています。

 20日にも初会合が開かれる同検討会議のメンバーは計16人。安倍晋三首相が議長を務めるほか、議長代理に就く西村康稔全世代型社会保障改革担当相や、麻生太郎財務相、菅義偉官房長官、加藤勝信厚生労働相ら6人の関係閣僚が入ります。

 特徴的なのは、民間から入る9人の有識者です。これまで政府内の各会議で社会保障や労働法制などの改悪をけん引してきた顔ぶれが、各会議の代表者として参加します。一方で労働界や医療や介護の現場の代表者は誰一人参加していません。

財界ツートップ

 財界からは、経団連の中西宏明会長、経済同友会の桜田謙悟代表幹事というツートップが入るのに加え、新浪剛史サントリーホールディングス社長が参加します。

 これまでも、新浪氏は経済財政諮問会議、桜田氏は未来投資会議、中西氏は両会議に所属し、財界のための「改革」を要求してきました。

 中西氏が率いる経団連は最近の提言でも、10月に予定されている消費税率の引き上げについて「極めて重要だ」と指摘。現在29・74%の法人実効税率の25%程度への引き下げを求める一方で、社会保障制度に対しては国民に痛みを強いる「給付と負担のあり方を中心とした改革」を急ぐよう求めています。

 社会保障財源については昨年4月の提言で「税率10%超への消費増税も有力な選択肢の一つ」とも主張してきました。

 中西氏自身も9日の会見で「別に政権に盾突くわけじゃないが、まだまだ経済界としては不満がある」と表明。「選挙をベースにすると、ここは締めなきゃねと言っているところをズルズルといっちゃう」と述べ、国民が嫌がる「改革」の「着実な実行」を求めました。

 同友会の桜田氏も、今回の内閣改造前に「痛みを伴うものにも目を向けて取り組む内閣を」と注文をつけていた人物です。

 かつて小泉内閣の経済財政諮問会議で国民に痛みを強いる「改革」を2人の財界人―当時の奥田碩トヨタ自動車相談役と牛尾治朗・ウシオ電機会長―が主導した手法をほうふつとさせます。

委員役員を歴任

 そのほか民間から検討会議に入る清家篤・前慶応義塾長は、数々の政府会議の委員・役員を歴任してきた人物です。清家氏は、現在議長を務める社会保障制度改革推進会議で、年金については、マクロ経済スライドによる給付水準の自動削減を続けるとともに「(労働者が)長く働き続けることで繰り下げ受給で給付額を増額し、老後の年金をそれなりに獲得できるようにしていくというのが最良のシナリオだ」などと本音を漏らしています。

 遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所長も、厚生労働省の社会保障審議会の会長で、同審議会の医療保険部会長、介護保険部会長としても具体的な制度改悪案を取りまとめてきました。

図

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