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2019年7月6日(土)

主張

豪雨・大雨への備え

命守る仕組みの整備に本腰を

 九州南部で続いた記録的大雨は鹿児島、宮崎両県を中心に土砂災害などを引き起こし、死者を出す深刻な事態となっています。

 ちょうど1年前の7月6日は、250人を超す犠牲者を生んだ西日本豪雨で最初の大雨特別警報が出された日にあたります。5日は40人が亡くなった九州北部豪雨から2年でした。毎年のように各地で繰り返される豪雨・大雨被害―。日本列島で無縁なところはありません。国民の命と暮らし、財産を守るため政治がさらに役割を果たすことが求められています。

急がれる住宅再建支援

 記録的大雨になった九州南部では、週末に再び雨になる予報です。これまでの大量の雨で土砂災害や河川氾濫などのリスクは増しており、厳重な警戒が必要です。

 梅雨のシーズンは台風シーズンとともに、もともと雨量が多く、災害の危険性が高まる時期です。さらに近年の水害が激甚化する背景に、地球規模での気候変動の影響も指摘されています。

 昨年の西日本豪雨は、災害関連死を含めて250人以上の犠牲者を出し、約2万2千棟に上る住宅被害をもたらしました。岡山県倉敷市真備町地区は全面積の3割以上が水没し、住宅5700棟以上が被害を受け、いまも約7200人が仮設住宅で暮らしています。住宅再建を望んでも資金の確保ができない被災者が多く、年金だけで暮らす夫妻は「これからの生活が不安だ」と訴えています。

 現在の被災者生活再建支援法の支援枠では、被災者の住宅再建にとってまだまだ不十分です。支援金を300万円から500万円に引き上げ、対象を半壊などに広げることなどは急務で、全国知事会も対象の拡大を要望しています。被災者が安心して暮らせる土台である住宅支援に、国は責任を果たすべきです。

 仮設住宅の入居期限が「原則2年」とされていることも、多くの被災者を苦悩させています。西日本豪雨の被災地では「2年で今後の住まいの見通しなどたたない」という声があとを絶ちません。

 発生から2年を迎えた九州北部豪雨の被災地では、仮設住宅の期限は切迫した問題です。福岡、大分両県で約800人が仮設住宅で生活していますが、入居期限が迫るなか、先の展望が見えない人たちが少なくないためです。自宅が川のすぐそばにあり戻れないとか、自宅再建をめざしながら資金不足でできないなど、実情は千差万別です。機械的に仮設退去を迫るのでなく、被災者の要望をよく聞き、実態に即した国や自治体の対応が必要です。

 また、医療や介護の面での支援の継続も欠かせません。被災者の医療費や介護利用料の自己負担の免除を打ち切るのではなく、無料化延長を行うなどきめ細かな施策で、被災者が健康を崩さないようにすべきです。

災害多発国の政治の役割

 災害に備え、被害を抑え、国民の安全と安心を保障することは、災害多発国である日本の政治の責任です。西日本豪雨ではダムのあり方も問題になりました。

 防災を無視した大規模開発をやめ、必要な防災施設の整備などで、災害に強いまちづくりをすすめるべきです。災害から命と暮らしを守る政治の実現は、参院選の重要な論点です。


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