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2019年6月13日(木)

「老後2000万円」の衝撃

参院選争点に急浮上 貧しい年金政府が証明

共産党“減らない年金 財源は大企業・富裕層優遇是正”

 老後の不安・低年金問題が参院選を前に政治の焦点に急浮上しています。発端となったのは“老後の資金は年金だけでは足りず、夫婦で2000万円が必要”と投資などによる自助を促した金融庁審議会の報告書。批判が広がる中、麻生太郎金融相は11日、「世間に著しい不安や誤解を与えている」と受け取り拒否を宣言しました。しかし、破たんした政府の年金政策や老後の生活の現実は何一つ変わっていません。


 「『100年安心の年金』なんてウソだったということだ」。元瓦職人の小川延男さん(76)=東京都北区=は憤ります。年金は手取り月約3・5万円。続けていた仕事も足が悪くなり最近やめました。「電動カートを借りて月2600円。介護利用料もタダじゃない。これからどうやって生きていこうかと思う」

 そんな中、小川さんも10日の参院決算委員会での日本共産党の小池晃書記局長の質問を中継で視聴しました。

 小池氏は“報告書は表現が不適切だった”として火消しに走る麻生氏に、「不適切なのは老後の生活を賄うことができない年金制度そのものだ」とピシャリ。「このままでは今後の年金はますます貧しくなる」と批判しました。

 小池氏は、年金の支給水準を自動的に減らす「マクロ経済スライド」によって現在41歳以下の現役世代では、老後の資金不足額が夫婦で3600万円にまで拡大するとの試算を突き付け、「貧しい年金制度をどうするのかを考えるのが政府の責任だ」と同スライド制度の廃止を求めました。

 「これをやめてしまったらどうやっていくのか」。こう開き直る安倍晋三首相に、小池氏は低年金のしっかりした底上げと減らない年金づくりを提起。財源も大企業や富裕層への行き過ぎた減税を見直せばつくれるとの党の提案を語りました。

 「安倍さんもしどろもどろだったよね。小池さんが言うように今すぐにでも底上げしてほしい」と小川さん。

 若い世代でも大きな変化が起きています。報告書をきっかけにツイッター上では、5月末から市民による「年金返せデモ」(6月16日東京・日比谷公園出発)が呼びかけられ、リツイートは既に1・6万件を超えています。小池氏の質問も“首相を完全論破”と反響を呼んでいます。

 国会では、野党が、衆参予算委員会で安倍首相出席の集中審議を開催するよう要求。与党は「報告書はもうない」(自民党の森山裕国対委員長)などとごまかしています。


給付増額こそ政府は考えよ

 暮らしと経済研究室主宰・山家悠紀夫(やんべ・ゆきお)さんの話 年金では老後の生活費が足りないという金融審議会の報告書の指摘はその通りです。政府の諮問に対する報告書を受け取らず、指摘をなかったものとしてしまうのはおかしい。政府は基礎年金を生活できる水準に上げるなど給付を増やすことを考えるべきです。

 報告書は投資を勧めています。報告書をつくった市場ワーキンググループの委員には投資信託業界などお金が投資に回るとありがたい人が入っています。「貯蓄から投資へ」という政府の基本方針に沿ったものです。しかし、政府が何十年そう言い続けても、個人のお金は株式市場などに動きません。将来が不安で、なくなったり減ったりしたら困るからです。

 退職後、生活できる年金制度にしなければいけません。それを考えず、お金を増やして自分で何とか調達しろというのは政府として筋違いであり、考え方として間違っています。


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