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2019年5月20日(月)

きょうの潮流

 昨年映画にもなった内館牧子さんの小説『終わった人』に、こんなくだりがあります。「これからは時間の流れ方が違ってきて面白いよ。会社員時代と違う価値観で時間を見ればいい」▼63歳で定年を迎えた男性の主人公が、周りからそんな言葉をかけられます。しかし、あり余る時間に戸惑い、居場所や生きがいを求めてあがきつづける。仕事ひとすじだった今までの人生とは別の生き方を見つけようとして▼かつては55歳が主流だった定年制が法によって60歳になったのは20年ほど前です。その後、2012年から65歳まで引き上げられていますが、さらに70歳まで働く制度案を政府がとりまとめました▼定年の廃止や延長に加え、再就職のあっせんや起業支援などを企業側に求めますが、ようは人手不足の解消と社会保障費を抑えることが目的。安倍首相は元気で意欲ある高齢者に経験や知恵を社会で発揮してもらえると飾りますが、年金だけでは暮らせない高齢者を労働市場に追い立てるものです▼退職しても健康や家計の不安から働かざるを得ない。いまや非正規雇用が4割をこえ、職種を問わず働きすぎが問題になり、賃金も上がらない労働環境は、いつまでも“終われない”現状を示しているかのようです▼異例の長さとなった今回の大型連休。働き方や休日の過ごし方に思いをめぐらせた人も多いはず。働くことだけが人生ではなく、だれもが自由な時間を有意義に使える社会に―。その実現を名前に込めた政党が日本にはあります。


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