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2019年5月20日(月)

主張

F35の墜落事故

未完成機“爆買い”の愚やめよ

 昨年9月に米国内で発生した米海兵隊F35Bステルス戦闘機の墜落事故で、米政府監査院(GAO)の報告書が、部品の「製造上の欠陥」が原因だったことを明らかにしました。今年4月に青森県沖で起きた航空自衛隊F35Aの墜落事故は、原因を調査中ですが、事故機は「訓練中止」を伝えた後に消息を絶っており、機体に何らかのトラブルが生じた可能性が指摘されています。F35はいまだ数多くの欠陥を抱え、安全性が懸念されている未完成機です。しかも、1機の価格が100億円を軽く超える極めて高額な兵器です。政府は大量購入計画を中止すべきです。

いまだ800以上の欠陥

 昨年9月28日、米海兵隊のF35Bが米南部サウスカロライナ州で墜落しました。最新鋭のステルス戦闘機F35は空軍用のA型、海兵隊用のB型(短距離離陸・垂直着陸が可能)、海軍用のC型がありますが、この三つの型を通して初めての墜落事故でした。

 GAOは今月7日に発表した報告書で、同事故の原因について「製造上の欠陥によってエンジン燃料管が飛行中に破裂し、エンジンの出力が失われた」ことにあったと記しました。米国防総省はGAOに対し、交換しなければならない同じタイプの燃料管が117機で使用されていたと報告しています。117機は、当時、全世界に配備されていたF35の約40%に当たると報じられています。

 報告書はさらに、昨年4月の開発試験終了前に900以上の欠陥が確認され、同年12月の運用試験開始前でも800以上の欠陥が十分に解決されていなかったとしています。

 今年4月9日の空自F35Aの墜落事故は、同型機では世界初でした。防衛省は、事故機が過去2度、機体の不具合で緊急着陸をしていたことを明らかにしています。それによると、17年6月に試験飛行で冷却系統に関する警報装置が作動して名古屋空港に着陸、昨年8月には航法機材の不具合のため千歳空港に着陸しています。

 これまで空自は事故機を含めF35Aを13機配備してきましたが、うち5機が機体の不具合のため計7回、緊急着陸を行っています。

 自衛隊へのF35導入について、政府は11年12月にA型42機の取得を決めていました。しかし、安倍晋三政権は昨年12月、トランプ米大統領の要求に応え、取得数を42機から一気に147機へと増やしました。147機の内訳は、A型105機、B型42機です。

 このうち、今年度から5年間の「中期防衛力整備計画」(中期防)期間中にA型27機、B型18機を調達することになっています。防衛省は中期防で取得するA型の価格を1機約116億円としています(B型の単価は非公表)。116億円の国費があれば、4000人分の保育所や900人分の特別養護老人ホームの建設が可能です。

「戦闘機の要件満たさず」

 GAOが4月25日に発表した報告書は、昨年5~11月にF35の30%近くが予備部品の不足で飛行できず、「戦闘機に必要な要件を満たすだけの実績に達していない」と明記しています。海外への部品輸送のネットワークが整っていないことも指摘しています。膨大な無駄でもあるF35の“爆買い”計画をやめ、国民の暮らしを守る予算を拡充することが必要です。


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