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2019年5月5日(日)

きょうの潮流

 食べ物を深く掘り下げたら、災害と戦争と貧困にたくさん触れざるを得なかった…。京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さんの近著『給食の歴史』のあとがきです▼子どもが生き延びるための頼みの綱。災害時は学校の給食室が炊き出し場にも。そもそも学校教育の一環なのに「食べることは生きることの基本」という定理をしっかり貫く教育は「食育基本法を経た後も、まだ一部を除いて実現していない」。藤原さんは手厳しい▼わが子が通った中学校は選択制のデリバリー給食、つまり“外注弁当”。長持ちさせるために温かいおかずを冷却します。小学校は自校給食。「素材が生かされておいしい」「家でも作りたいね」と親たちが頬緩ませた試食会の記憶も。が、中学校の試食会は一転して…。喫食率が低迷するはずです▼弁当持参でなくデリバリー給食なら、就学援助の対象で無償に。でも今のままでは「冷たくても、ただで食べられるだけありがたいと思え」とならないか。学校は子どもの命を育む場であるはずなのに▼デリバリー給食のもう一つの心配は、添加物が使われかねないこと。認定NPО法人の事務局長で、自身も子どもも食物アレルギーがある女性は言います。「添加物を避けることで、安全な食事を守りたいと考える人たちもいる」▼子どもの7人に1人が貧困の日本。なのに“愛情弁当論”で給食実施そのものをいまだに拒む首長や議員も。温かくて安全でおいしい給食をみんなに。それは決してぜいたくな願いではないはず。


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