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2019年2月16日(土)

低年金 高学費でも働けるだけ感謝しろというのか

安倍政権の冷酷さに国民怒る

志位氏追及で浮き彫りに

 安倍晋三首相が消費税10%増税で持ち出す家計消費、賃金、雇用の“改善”のごまかしを明らかにし、増税の根拠を総崩れにした日本共産党の志位和夫委員長の国会質問(12日の衆院予算委員会)が大きな反響を呼んでいます。増税の論拠が総破綻しながら、国民はいくら生活が苦しかろうが、黙って我慢しろといわんばかりの安倍首相の冷酷な姿勢に怒りが噴出しています。


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(写真)追及する志位和夫委員長(左)=12日、衆院予算委

 「モノやサービスを買えるのは、実質賃金ではかられる。名目賃金じゃないんです。実質で見なさい」

 志位氏の追及に安倍首相はまったく反論できなくなりました。国民の消費は2014年の消費税8%増税の打撃を回復するに至っていないこともしぶしぶ認めました。

 しかし、安倍首相は破綻を深めても「名目賃金の上昇」を強弁し、「総雇用者所得」が増加していると繰り返すばかり。そこには、国民の生活実態に心を寄せようとしない冷たい姿勢が露骨に表れています。

 14日の衆院本会議で行われた所得税法改定案審議入りの質問では、他の野党議員が志位氏が取り上げた実質賃金や実質消費のマイナスの問題を追及。「就業者が増えた」という安倍首相に「高齢者は生活に苦しんでいるのが実態だ」と告発しました。

破綻済みの主張

 これに対し安倍首相は、「(アベノミクスで)物価が上昇すれば、実質賃金はさらに抑えられていく」と当然視。「名目賃金は今世紀に入って最高水準」と破綻済みの主張を繰り返したのです。

 野党議員から「雇用者数の伸びを手放しで喜ぶことはできない」「生活が苦しくて多くの高齢者が働きに出て行かざるを得なくなっている。これが総雇用者所得がプラスになっている大きな要因だ」と指摘されると、「一国全体で見た経済を評価するにあたって雇用者数の伸びを踏まえるのは当然だ。むしろ雇用者数の伸びを評価しない姿勢が驚きだ」などと答弁。志位氏の追及に反論不能だった首相ですが、ここぞとばかり激高して声を張り上げました。

内部留保が拡大

 しかし「一国全体で見れば」という言い方に端的なように、一人ひとりの国民の生活実態は目に入らず、巨大企業が空前の利益を上げ内部留保を膨らまし続けることで「全体」が拡大していればいいという、大企業中心で国民生活には冷酷な政治姿勢が示されています。

 志位氏は、14日の記者会見で「論戦を通じて学ぶことができない人だ」と指摘。安倍首相の言い分は「高齢者の年金が少なくても働けるだけいいじゃないか、授業時間中にアルバイトしている学生も就職できるだけ感謝しろという理屈だ」と厳しく批判しました。

 巨大企業や富裕層への負担増は一顧だにせず、消費税10%増税に突き進もうとする安倍政治をストップさせるには、統一地方選、夏の参院選と連続する選挙で自民、公明の与党勢力を大敗に追い込むしかありません。

好きで働いてるわけじゃない

高齢者

 真冬の午前6時すぎ。凍(い)てつく道を、小さな体を丸め女性(東京都足立区)が職場へと急ぎます。来月には83歳になりますが週4日、午前7時から9時まで特養ホームで働いています。

 「入所者さんが朝食で使ったエプロンを全部洗って干すんです。食べ物がついてドロドロ、手洗いだから汗びっしょり。首が回らないほど痛くなる」。シルバー人材センターの仕事で時給は900円。月3万円弱になります。

 結婚後も働き詰めでした。ところが介護や医療の保険料天引きもあり年金は手取りで月10万円しかありません。子と同居します。50代の息子は勤続20年の食品会社が倒産、非正規で働き体調を崩して療養中です。娘のアルバイトは不安定です。鈴木さんの年金と就労収入では足りず、かんぽ生命保険を担保に借金しています。

 「小林多喜二の小説みたいな世の中。一握りの人が大もうけして貧しい人が死んでも安倍さんは平気でしょ」と鈴木さん。「だれも年とって好きで働いているわけではないです。なのに『総所得が増えた』とでたらめを言って消費税を上げようとしている。恐ろしい。志位さんの質問を『赤旗』で読んで余計に腹が立ちました。共産党が選挙で勝って安倍さんを早く辞めさせたい」

大田の町工場 実態を見ろ

中小業者

 東京都大田区で金属部品の加工を手掛ける男性(72)は、日本共産党の志位和夫委員長の質問に対する安倍晋三首相の答弁(12日の予算委員会)を聞いて怒りが込み上げたと言います。「安倍さんは家計消費の数字が少し上向いているから増税すると言います。消費税増税なんてとんでもない。大田区では請求書や納品書を前に並べて経営者が自殺するような悲劇が起こっています。増税よりも不景気を何とかするのが先です」

 日本のものづくりを支えてきた大田区の工場は、アベノミクスの「果実」どころか長引く消費不況の中で激減しています。「この間多くの仲間が廃業しました。安倍さんに一番言いたいのは『大田の町工場に来てくれ』です。建売住宅が並びますが、多くが工場跡地に建っています。それが実態です」

 フランチャイズ業界団体の役員によると、コンビニ店主からは、複数税率の導入で現場が混乱するとの懸念が出ているといいます。複数税率の導入によってレジで「店内で食べますか」などと声をかける必要が出てきます。コンビニでは1日数百人が来店することから、店主の間では「大変な負担だ」「お客とのトラブルが起きないか心配だ」との声が上がっています。

 中小商店やコンビニでは、売り上げが減少傾向であり、「これ以上消費が落ち込むのは困る」などと不安が広がっています。

週6バイト 勉強成り立たず

大学生

 都内の私立大学1年生の男性(19)

 大学の夜間部に通っています。有利子の奨学金を月額12万円借りていました。4年間借りるつもりでしたが、今年3月でやめることにしました。一番の理由は、返済額の多さです。4年間借りると元金だけで約570万円。これに利息を加えると総額は600万円を超え、月に約3万5千円を20年間返し続けることになります。大学を卒業しても不安定な職に就く人も多く、「とても返せない」と考えたからです。

 いま週6日アルバイトをしています。うち週4日は8時間の事務仕事、2日はスーパーでのアルバイトです。バイトが終わって、授業を受けると、自宅には帰って風呂に入って寝るだけ。授業の予習は全然できていません。

 大学生は勉強が本業なのに、こんなの本末転倒です。アルバイトで生計を立て、学費負担について「親に申し訳ない」と言っている学生が多くいます。

 志位委員長の質問に対する安倍首相の答弁を新聞で読んで、首相は、僕たち学生のことをみず、見かけだけよさそうに見せようとしていると感じました。

 教育や社会保障の予算を増やし、学費を引き下げたり、給付型の奨学金をつくったりしてほしいです。


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