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2019年2月1日(金)

きょうの潮流

 「しきしまの大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」。これは江戸時代の国学者、本居宣長(もとおり・のりなが)が詠んだ和歌です。しきしま(敷島)とは日本の別称で大和国にかかる枕詞(ことば)になってきました▼この歌は、日本精神を表現したものとされ、太平洋戦争中に愛国百人一首の一つに選ばれました。実際、歌に出てくる敷島や大和、朝日や山桜は戦艦や特攻隊の名に付けられ、天皇への崇敬や愛国の象徴とされてきました▼「しきしまの大和心のをゝしさはことある時ぞあらはれにける」。こちらは日露戦争が開戦した1904年に明治天皇が詠んだ歌です。それを安倍首相が施政方針で引用しました。これまで日本人は何度も大きな困難に直面してきたが、そのたびに乗り越えてきたと▼明治天皇の歌は朝鮮半島や中国への支配権を争う侵略戦争に向かう軍隊や国民の戦意を高めるために使われてきました。それを政府の基本方針や政策を示すなかで用いるとは何事か。共産党の志位委員長が代表質問で強く抗議しました▼国民主権や平和主義という憲法を貫く原則を顧みるどころか、相反するものを国民に向かって臆面もなく言い放つ。そこに安倍首相の歴史観、憲法や立憲主義に反する危険な思想が表れているからでしょう▼こんどの国会でも安倍首相は9条への自衛隊明記を呼びかけています。今を生きる政治家の責任だと。あくまでも日本を「戦争する国」に変える野望と、改憲にしがみつく執念。「しきしまの大和心」に込めた思いがにじみ出ています。


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