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2018年11月25日(日)

きょうの潮流

 19世紀の半ばにロンドンで産声をあげた国際博覧会(万博)は、国境をこえた産業や技術の見本市として出発しました。蒸気機関車をはじめ巨大な機械がうなる姿に観客は目を見張ったといいます▼近代文明の開化と進歩による便利で豊かな生活。万博はそれを皮膚感覚でわからせ、大衆を啓蒙(けいもう)するための装置として発展してきた―。岡本太郎記念館館長の平野暁臣さんが著書『万博の歴史』に書いています▼世界大戦を境に、科学技術の信奉から万博の核はそれぞれが掲げるテーマに変わりました。たとえば70年の大阪万博は「人類の進歩と調和」がテーマ。ときは復興から経済成長へ。人々の多くが万博に明るい未来を映していました▼その大阪で2度目の開催が決まりました。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。25年までにどんな姿や形を描くか。いまや万博の意義そのものが色あせているだけに伝える中身が問われます▼見逃せないのは、安倍政権と大阪の維新政治が万博を口実にカジノの誘致や開発を推し進めようとしていることです。巨額な公費を投入して。彼らのたくらみは、この万博の公式スポンサーに複数の米カジノ企業が名を連ねていることからも明らかでしょう▼国際博覧会の条約は万博が「公衆の教育を主たる目的とする催し」であると記しています。岡本太郎は大阪万博のシンボルとなった「太陽の塔」に、人間とは、生命の根源とは何か、という思いを込めました。その問いかけは今も突きつけられています。


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