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2018年11月19日(月)

主張

教員の長時間労働

党提言を生かし対話と共同を

 学校現場の長時間労働は極限に達し、社会問題になっています。教育条件としても放置できません。日本共産党はその解決を正面からとりあげた提言「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を―学校をよりよい教育の場に―」を発表しました(9日)。「きめ細かく、読んだだけで自信が持てる」「管理職や行政とも一致できる」「教員として励まされた」など多くの反響がよせられています。

定数増が必要な根拠

 今回の日本共産党の提言の大きな特徴は、教員増が問題の解決に不可欠であることを、明確な根拠を示して強調していることです。

 教員増は、学校関係者の立場をこえた強い要求です。

 厚生労働省の今年の「過労死白書」でも、過重労働防止に必要な取り組みとして教職員の78・5%が「教員の増員」をあげています。教育委員会の圧倒的多数も、定数改善を要望しています。中央教育審議会でも、多くの委員から定数改善を求める声が出ています。

 しかし、安倍晋三政権は定数増の要求を否定し、文部科学省も中教審も定数増を打ち出せない状態です。

 もともと教員定数は、教員1人が1日4コマの授業を受け持つことを基準とし、実際にそれだけ授業を担えるだけの教員数を配置する、という考え方で算出されていました。1日4コマの授業なら、所定勤務時間中に約2時間、授業準備などの校務ができ、膨大な残業にはなりません。

 ところが、学校週5日制実施の際、教員も週5日労働になったにもかかわらず、国は週あたりの受け持ち時間を変えず、教員の授業負担が増えました。さらに、学習指導要領で定める標準時数以上の授業を確保することを求め、各地で際限ない授業増となりました。

 その結果いまでは、例えば小学校では多くの教員が1日5コマ、6コマの授業をしています。これでは勤務時間内には仕事が終わらず、膨大な残業が必至です。

 提言は、こうした教員の長時間労働の根底にあるものを明らかにしました。そのうえで、小中学校の教員定数を10年間で9万人増やし、「1日4コマ」の基準に戻すことを提起しています。これは異常な長時間労働を引き起こした政府の誤りの是正であり、必ず行うべきものです。必要な予算は数千億円で、先進国で最低の、国内総生産(GDP)比2・9%という教育予算を0・1ポイント上げるだけで可能です。要はやる気の問題です。

 提言はまた▽学力テストなど教職員の負担を増大させている業務の削減を国・自治体と学校現場の双方から推進▽公立教員を「残業代ゼロ」とした法制度を改め、残業代を払うなど教職員の働くルールの確立▽非正規教職員の正規化と待遇改善―を提案しています。

 安倍政権は「1年単位の変形労働時間制」の導入を検討しています。これでは夏休み以外の異常な長時間労働が制度化・固定化するばかりか、新たな矛盾も生み、問題を深刻にするだけです。

多くの教職員、国民に

 提言は、学校での長時間労働問題を是正する一点での共闘をすすめるものです。近く提言パンフレットもできます。今こそ、教職員や保護者をはじめ、教育委員会、校長、PTA、教職員組合などとの対話と共同を広げましょう。


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