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2018年11月16日(金)

検証 三つのタブーと「しんぶん赤旗」

「歴史タブー」 徴用工問題で違い鮮明

 安倍政権の暴走政治が加速するなか、「タブーなく真実を伝える新聞」としての「赤旗」の役割が三つの分野―「歴史タブー」「アメリカタブー」「財界タブー」で鮮明になっています。第1回は、「歴史タブー」をみていきます。


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(写真)徴用工問題についての志位委員長の「見解」を報じた「赤旗」2日付1面

メディアの役割

 「歴史タブー」がない「赤旗」の役割を浮き彫りにしたのが韓国人徴用工問題です。

 10月30日、韓国大法院(最高裁)は、日本がアジア・太平洋地域を侵略した太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」と訴える韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、賠償を命じる判決を言い渡しました。この判決をめぐっては、安倍晋三首相が「国際法に照らしてあり得ない判断だ」と切り捨てたばかりか、日本のほとんどのマスメディアが政府の姿勢に追随しました。

 安倍首相発言を「当然」とした「読売」が「両国関係を長年安定させてきた基盤を損ねる不当な判決」と批判したのをはじめ、「(日韓の)関係の根幹を揺るがしかねない判決」(「朝日」)、「1965年の日韓基本条約を覆すような判決」(「毎日」)、「日韓関係の根幹を揺るがす由々しき事態」(「日経」)など、韓国たたきの大合唱といった様相です。「産経」にいたっては、「当時の法令(国民徴用令)に基づき合法的に行われた勤労動員」と説くありさま(いずれも10月31日付社説)。テレビも加わり、異常な報道となっています。

 徴用工問題は、日本の侵略戦争、植民地支配と結びついた重大な人権問題です。本来なら加害者の日本政府と当該企業は過去の誤りへの真摯(しんし)な反省を基礎に、被害者の尊厳、名誉を回復するために努力すべきです。そのような問題で、日本政府が植民地支配に苦しんだ人たちの痛みを一顧だにせず、訴えを切り捨てる立場をとるなら、その暴走に「待った」をかけ、問題の所在や解決に向けた多様な意見を紹介するのがメディアの最低限の役割のはずです。

 日本の巨大メディアは、その役割さえ放棄し、日本政府の居丈高な姿勢に無批判に追随しています。

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(写真)志位委員長の「見解」を受けての識者の談話を紹介する「赤旗」4日付3面

実態に触れ提起

 これに対して、「赤旗」はどうか。判決については「徴用工に賠償命じる 新日鉄住金に韓国最高裁 『反人道的』」と、重大な人権問題としてとらえ速報するとともに、解説で植民地支配の実態にも触れながら、「日本企業・政府は(判決に)誠実に向き合え」と提起しました。

 判決から2日後には、志位和夫委員長が見解を発表。「被害者個人の請求権は消滅していない」と日本の政府、最高裁も、韓国の政府、最高裁も一致して認めており、この基盤のうえに被害者の名誉と尊厳を回復する前向きの解決策を見いだしていくことを提起しました。また、日本の植民地支配と直結した日本企業の反人道的な不法行為に対する請求権は、政府間でも「解決ずみ」とはいえないという韓国最高裁の判決は「検討されるべき論理だ」と表明し、日本政府に植民地支配への真剣な反省のうえによく話し合って解決する立場にたつよう求めました。

 「赤旗」では、4日付で「『徴用工』判決と志位委員長見解 識者はどうみる」の特集も掲載。戦後補償の運動をしてきた人たちや醍醐聰東大名誉教授、二見伸明・元公明党副委員長などの談話を紹介しました。

植民地支配反対

 日本共産党と「赤旗」が、メディアの翼賛状況ともいえるなか、こういう見解を勇気をもって出せるのは、日本の侵略戦争、植民地支配に命がけで反対を貫き、戦後も一貫して植民地支配の誤りを認めて謝罪するよう求めてきた政党だからです。

 一方、日本の大手新聞は侵略戦争と植民地支配に加担しながら、真剣な反省も総括もなく、戦前・戦中の旧経営陣の多くも居座ったまま、戦後も新聞発行を続けました。「満州事変」(1931年)を契機とした侵略戦争への露骨な協力には一定の反省を示しても、韓国などへの植民地支配に対する反省はほとんど行ってこなかったのが実態です。

 今回問題になった日韓基本条約・請求権協定の交渉過程でも、日本政府が1910年の韓国併合条約が不法・無効だったことも認めないものだったにもかかわらず、大手紙は「韓国に譲歩に譲歩を重ねてきた」と非難さえしていました。1965年1月、日韓会談首席代表になった高杉晋一氏が「日本があと20年朝鮮をもっていたらよかった。植民地にした、植民地にしたというが、日本はいいことをやった」などと植民地支配を正当化する重大発言を行ったとき、大手新聞はオフレコ扱いにし、一切報じませんでした。報じたのは日本の新聞では「赤旗」だけ。逆に10日もあとに、「高杉発言は無根」(「読売」)などという釈明だけを報じたのでした。

 志位委員長の見解には、「さすが共産党」「すっきりした」との反響が相次ぎ、韓国のシンクタンク研究員からも「日本共産党の方々の意見、判断、勇気に敬意を表します。日本共産党のおかげで日本の未来はますます明るいと思います」とのメッセージが寄せられました。

 歴史問題の解決、日韓の真の友好を進めるうえでも「歴史タブー」のない「赤旗」の役割はいよいよ重要です。(つづく)


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