2018年11月7日(水)
西日本豪雨 家財すべて水浸しなのに
家電支給に差
仮設住宅 本紙調査
7月初めの西日本豪雨で被害の大きかった広島、岡山、愛媛の3県では4594世帯の被災者が、災害救助法に基づく仮設住宅で暮らしています。多くの仮設では電化製品はエアコンと炊飯器程度しか支給されず、また支給物資に格差があることがわかりました。
入居者悲鳴 国が責任を
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岡山県倉敷市真備町の仮設住宅で4日、災害被災者支援と災害対策改善を求める岡山県連絡会と共産党の共同被災者支援センターが行った支援物資配布で、入居者から深刻な声が出されました。
先行き不安
「2階まで浸水し、家財道具はすべて廃棄した。冷蔵庫、電子レンジ、掃除機は友達からもらった。先行きが不安だ」(妻、子ども2人と入居している男性、40歳)
「市から毛布と炊飯器をもらったが、あとの家財道具は全部買って約100万円の出費。他県、他市では家電がもっと支給されていると聞く。格差があるのはおかしい」(子どもと入居している33歳の女性)
「夏布団の支給だったので今は寒い。夏布団を重ねて震えて寝ている。(市が支給する)炊飯器もまだ届かない」(77歳男性)―。
本紙は広島、岡山、愛媛の3県と建設型仮設住宅のある8市町にアンケートと聞き取りを行いました。
電化製品では、広島県では県が一括で6製品を支給しています。他方、岡山、愛媛両県では支給を各市に委任しており、ばらつきがあり、支給品目も少なくなっています(表参照)。炊飯器を支給対象としていない市もあります。愛媛県は支給品目が少ないことについて、県独自の支援金を一部損壊家屋の被災者も含めて支給しているので、「それを使ってもらう」と説明しています。
災害救助法は「被災者の保護」を目的とし、仮設住宅の供与、生活必需品の支給などを定めていますが、政府は支給する電化製品を炊飯器などに限定しています。家財を失った被災者が日常の生活を送るうえで、冷蔵庫や洗濯機は必需品となっています。
対象広げて
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広島、岡山、愛媛の3県は共同で政府に対し、災害救助法による供与物品拡大を求めています。
アンケートでは政府への要望として、3県とも「被災者生活再建支援法の支援対象を半壊、一部損壊に広げること」を求めています。「戸別訪問による健康管理・精神保全活動を災害救助法の対象に」(広島県)「家屋の応急修理制度の対象拡大と上限引き上げ」(岡山県)「冷蔵庫、洗濯機を災害救助法による支給対象に」(愛媛県)という要望も出されています。
日本共産党は、被災者が安心して暮らせる住まい、生活を確保できるようにする責任が国にあるとして、生活の実態に即して支給する生活必需品の見直しを行うよう求めています。
豪雨、地震などの大災害が相次ぐ中、国民の命と暮らしをどう守るのか―。防災・減災、救援、復興の角度からシリーズで考えていきます。(随時掲載)
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