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2018年9月8日(土)

土砂崩れなぜ多発

揺れに弱い火山灰の層

「極短周期」震動 阪神淡路の3.5倍

 6日発生した北海道胆振東部地震では、厚真町などであちこちの山の斜面が崩れ、ふもとにある家々が土砂で流され、住んでいる多くの人々の安否が不明となる事態となっています。土砂災害が多発したのは、厚真町とその周辺が地震の揺れで崩れやすい火山堆積物に覆われていること、地震の揺れが土砂崩れを起こしやすい短い周期の成分が強かったことが関係している可能性が指摘されています。

 厚真町とその周辺には、4万年ほど前、厚真町の西に位置する現在の支笏(しこつ)湖をつくった支笏火山から噴出した軽石を含む火山灰が厚く堆積しています。このような地層は地震の揺れで崩れやすいことが知られています。2016年の熊本地震では、南阿蘇村で土砂崩れが多発し、家の中に土砂が流れ込んだり、橋が崩落したりして多くの犠牲者が出ました。

 東京大学地震研究所は、防災科学技術研究所が観測した今回の地震のデータを解析。その結果、揺れの周期が0・5秒以下の「極短周期」の成分が1995年の兵庫県南部地震の3・5倍も大きかったことがわかりました。同研究所は「大規模な土砂災害などの地盤災害は、こうしたごく短周期の揺れが一定時間続いたことで拡大した可能性があります」と指摘しています。

 地震に伴う土砂災害は、今回の地震や熊本地震に限らず、過去の地震でたびたび発生しています。2008年の岩手・宮城内陸地震でも宮城、岩手、秋田3県にまたがる栗駒山で山体崩壊が発生したほか、各地で土石流や土砂崩れなどが発生しました。

 04年の中越地震では、旧山古志村(現新潟県長岡市)の全体が地滑りを起こしたようになりましたが、空中写真から読み取っただけでも土石流や地滑り、がけ崩れが合わせて千数百カ所に上ったと推定されました。


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