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2018年7月8日(日)

大飯原発差し止め取り消し判決

司法判断さけ行政・立法に追随

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審で、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)は4日、差し止めを認めた一審福井地裁判決(樋口英明裁判長)を取り消しました。司法の役割を放棄したものです。(松沼環)


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(写真)控訴審で、名古屋高裁金沢支部は差し止めを命じた一審判決を取り消し、住民の請求を棄却しました。「不当判決」などののぼりをかかげる原告ら=4日、石川県金沢市

 2014年5月に出された一審判決は、憲法上の権利である人格権が、侵害される具体的な危険を認め、大飯原発の差し止めを認めました。

裁判所の責務放棄

 今回の控訴審判決は、原発を認めている原子炉等規制法などの法制度を前提とする限り、「原発の運転に伴う本質的・内在的な危険があるからといって、それ自体で人格権を侵害するということはできない」と述べています。さらに、「我が国のとるべき道として原発そのものを廃止・禁止することは大いに可能」としながら、その当否をめぐる判断は「もはや司法の役割を超え」と、政治的な判断に委ねられるべきとしました。

 これは憲法に定められた三権分立により司法に求められる役割を放棄し、行政府、立法府への追随を宣言しているに等しいものです。

 一審判決が、福島原発事故後、具体的危険性が万が一でもあるのか判断を避けることは「裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しい」と述べていることと対照的です。

 注目された元原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦東京大学名誉教授が指摘した基準地震動の過小評価の問題は、関電の主張を丸のみし、大飯原発周辺の活断層の長さや幅を保守的に大きく見積もることで防ぐことができるとしています。島崎氏自身が、指摘した問題が、関電のいう保守的な評価では全くカバーできないと法廷で証言したことを無視しています。

 判決後の会見で、弁護団の井戸謙一弁護士は「具体的な問題点に対して、裁判所はまともに答えることができない。内容的には非常にひどい判決だが、それだけ裁判所が追い詰められていることの現れ」と述べました。

住民の権利を奪う

 裁判の進行も問題がありました。

 地盤調査の問題で、裁判所は、住民側が求めた専門家の証人の尋問を拒否し、関電にデータを提出させることもなく審理を打ち切っておきながら、判決では、「判然としない」などあいまいな評価で、住民側主張を退けています。

 弁護団は抗議声明で、「住民側の裁判を受ける権利を奪った不当な『裁判』」と批判しています。

 判決は、大飯原発の危険性が「社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されている」と断言しています。その根拠は、規制委が策定した新規制基準であり、それに適合しているという規制委の判断です。

 新規制基準は、施設などの適合性を見るにすぎず、「安全を保証するものではない」(規制委)としているのにです。政府と同様、「安全神話」に他なりません。

 社会通念を判断基準とするのであれば、いずれの世論調査でも原発の再稼働に反対する声が過半数となっている現状から考えるべきです。


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