しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月30日(土)

主張

残業代ゼロ制度

実施許さず廃止に追い込もう

 働く人の命を危険にさらすとして厳しい批判を浴びている「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)などを柱とする「働き方改革」一括法が、参院本会議で自民・公明の与党などの賛成により成立しました。過労死家族の人たちが懸命に反対を訴え、全労連、連合をはじめ労働界がこぞって反対する中で、これらの声を無視し成立を強行した安倍晋三政権の責任は極めて重大です。野党の国会での追及に、政府はまともな答弁ができず、立法の根拠は総崩れしています。民意に反する破綻した法律の実施・具体化を許さず、廃止に追い込むことが必要です。

立法の根拠は総崩れに

 安倍政権が強行した「働き方」法は、労働時間規制を全面的に撤廃し「24時間働かせ放題」にすることを可能にする「残業代ゼロ制度」を、戦後日本の労働法制に初めて盛り込むなど、文字通り「働かせ方」大改悪という以外にない、とんでもない悪法です。

 政府が売り物にする「残業時間の上限規制」も、過労死ラインの残業時間を合法化するもので、長時間労働を一層まん延させるおそれがあるものです。「同一労働・同一賃金」も、賃金格差を温存し固定化する内容であるのが実態です。財界の強い要求にひたすらこたえ、働く者の命と健康を脅かす「働き方」法を、数の力を振りかざして乱暴に成立させた安倍政権と自公、維新の会などの暴挙は断じて許されません。

 国会審議の中では、「働く人のニーズ」とか「時間でなく成果で評価される」とか「自律的に働ける」などの政府の言い分が全く成り立たないことが次から次へと明らかになりました。だいたい、この法律は法案づくりの出発点となった労働時間調査について大量のデータのねつ造や隠ぺいが発覚し、法案を国会に提出することの前提が大本から問われていたものです。

 安倍首相は今年初め、今国会は「働き方国会」と豪語し最重要法案と位置付けたにもかかわらず、法案の審議日程は大幅にずれ込み、当初の会期内に成立させることはできませんでした。強引な会期延長をしなければ成立させられなかったこと自体、この法律の道理のなさを浮き彫りにしています。国民世論、肉親を過労死で奪われた人たちをはじめとするたたかいにこそ大義があり、安倍政権を追い詰めていることは明らかです。

 法律は成立したものの、実際に動かすには少なくとも90項目にわたる政省令・指針などを定めなければなりません。それを決める労働政策審議会の審議はこれから始まります。労働者を保護するための「乱用防止」措置を明記させるなどの取り組みが不可欠です。また各職場に「残業代ゼロ制度」を導入させないたたかいが極めて重要になっています。

共闘の力さらに前進させ

 「残業代ゼロ制度」導入阻止を中心に法案反対の活動は、労働運動のナショナルセンターの違いを超えて大きく広がり、市民と野党の共闘も強まりました。安倍政権と対決する野党の国会共闘も大きく前進し、政権を追い詰める一連の成果をあげています。この力をさらに発展させ、疑惑まみれ、悪法推進の安倍政権を打倒し、「働かせ方」大改悪法の廃止、本物の「働き方」改革の実現へ道を切りひらこうではありませんか。


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