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2018年6月22日(金)

主張

加計理事長発言

延長国会での証人喚問不可欠

 安倍晋三首相の「腹心の友」の加計孝太郎・加計学園理事長が突然記者会見し、獣医学部の開設に絡み愛媛県文書が明らかにした、2015年2月の安倍首相との面談を否定したことに批判が広がっています。加計理事長の会見は昨年5月、「総理のご意向」などと書かれた開設をめぐる文書が明らかになってから1年以上もたって初めてで、県の文書で首相との面談が判明してからだけでも1カ月過ぎています。面談は首相も否定しており、根拠も示さない否定は意図的な口裏合わせの疑惑が濃厚です。不当に延長した国会での加計氏らの証人喚問が不可欠です。

面談否定の根拠はない

 愛媛県が先月発表した文書は、15年3月に県の職員が学園関係者と打ち合わせた際、同年2月25日に理事長が首相と面談、理事長が学園の計画している獣医学部では国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明したのにたいし、首相が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と答えたことを生々しく記録しています。

 加計学園が、首相の推進した「国家戦略特区」の愛媛県今治市に開設を計画した獣医学部の問題は、昨年5月、内閣府が文部科学省に「総理のご意向」などと伝えていた文書の存在が報道されて発覚しました。半世紀にわたって認められなかった学部新設をめぐり、時の最高権力者が関わって行政をゆがめた疑惑として、1年余り国会などで大問題になってきました。一方の当事者の理事長がこの間一回も記者会見せず、大阪北部の地震発生の翌日、多くの記者が参加しにくい状況で突然会見し、わずか30分足らずで打ち切ったこと自体、不当です。

 理事長は「3年も前のことなので記憶にも記録にもない」と言いますが、否定する何の根拠も示せません。首相が首相官邸への入館記録が廃棄されていることなどを理由に面談を否定したのと同様説得力はありません。面談を前提にすれば、面談直後、柳瀬唯夫首相秘書官が県や今治市、学園関係者などと面会し「本件は、首相案件」と発言したことや、官邸からそれを伝えられた「国家戦略特区」担当の内閣府が、認可する文科省に「総理のご意向」などと伝えたこともすべてつじつまが合います。

 県文書に面談の際に学園が提出したと書かれていた「新しい教育戦略」などとみられる資料が、日本共産党の吉良よし子参院議員が追及して最近文科省で見つかりました。首相に先立って面談したと県の文書に書かれている加藤勝信官房副長官(現厚生労働相)は面談を認めています。県文書の記述の信ぴょう性は明らかです。

真相解明は国会の役割

 面談が真実なら、設置が認可される17年1月まで学園の計画を知らなかったという首相の説明は崩壊します。理事長が言うように学園の県への説明が事務局長の「作り話」だったとすれば、怒っていいはずの首相は傍観しています。本当に「作り話」だったとすれば、学園が県や市をだまして、計約93億円余りの補助金を手に入れたことになり、その責任が問われます。ことは「謝罪」ではすみません。

 真相解明は国会の役割です。理事長は国会の判断を「お待ちしている」と発言しており、証人として国会へ喚問し、「森友」などとともに疑惑を全面解明すべきです。


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