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2015年1月5日(月)

反省なき安倍政権「地方創生」

衰退させているのは誰なのか

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 安倍政権は、「地方創生」を掲げた5カ年計画である「総合戦略」と、人口の将来展望を示す長期ビジョンをこのほど決定しました。いっせい地方選で争点となる疲弊した地方の再生・活性化につながるのでしょうか―。(深山直人)


■原因すりかえ

 総合戦略では、人口減少など地方衰退の原因について、「府省庁・制度ごとの縦割り構造」「効果検証を伴わないバラマキ」などと総括しています。

 しかし、地方衰退の原因は、輸入自由化などによる農林水産業つぶし、大店法廃止による商店街つぶし、「都市再生」の名による都市再開発・「東京一極集中」政策などによってつくられたものです。

 小泉「改革」で地方交付税を削減し、「平成の大合併」へと追い立てたことも、住民サービスを後退させ、地域経済に打撃を与えました。

 その反省もなく「地方創生」といっても通用しません。総合戦略では「今後も東京圏への人口流入が続く可能性が高い」として、「東京一極集中」は聖域とする姿勢です。

 総合戦略などでは、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」として創業支援や企業の地方移転、地方移住の推進、「若い世代の経済的安定」、子育て支援などを掲げています。出生率を回復させて60年に人口1億人程度を維持するため、夫婦で年収500万円を確保することが必要としています。

■地域経済壊す

 しかし、安倍政権は、農業や地場産業をはじめ地域経済を壊す環太平洋連携協定(TPP)を推進。労働者派遣法の改悪など低賃金の不安定雇用を拡大しようとしています。安定した雇用がなければ、地方移住も、安心して子どもを産み育てることもできません。

 しかも、人口減少の危機感をあおり、社会保障と地方財政の削減は避けられないとして民間投資の活用と住民の自助・互助でまかなうよう求めています。

 社会保障で掲げる「地域包括ケア」構想は、地域医療機関の再編縮小を進めるなど安上がりの態勢にして、医療や介護から利用者を追い出すものです。

 「連携中枢都市圏」構想の名で、都市部に公共施設と住民サービスを集約する方向を打ち出しています。

 これは、都市部周辺の市町村にある文化施設や図書館、福祉施設などの公共施設や行政サービスの拠点を「集約化」するものです。

 統廃合した施設は、民間委託などを進めて住民サービスを企業などのもうけの道具にする計画です。周辺地域の切り捨てと住民サービスの後退が進み、地域の疲弊をさらに進めるだけです。

■市町村再編へ

 こうした地方切り捨ての先には、さらなる市町村の再編と「道州制」がねらわれています。「人口減少に対し、効率的かつ効果的な社会システムを再構築する」としています。

 道州制は、国の仕事を外交・軍事などに限定し、社会保障や教育などを守る国の責任を投げ捨てる国家制度の大改編計画です。市町村は再編され住民からいっそう遠くなり、住民サービスも危うくなるなど地方自治の変質・破壊そのものです。全国町村会や全国町村議会議長会は「断固反対」しています。

 上から「地方創生」を押し付けても住民との矛盾は深まらざるをえません。地域活性化に取り組む自治体を応援し、財源を保障して地方自治の拡充をはかるなど、住民の立場にたった「地方再生」こそ求められています。


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