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2012年3月19日(月)

東京都OB33人天下り

失敗した土地信託のビル管理会社に

社長に副知事・出納長・局長… 幹部がズラリ

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 東京都の土地信託事業失敗が問題化するなか、受託銀行が設立したビル管理会社に都の幹部OB33人が天下りしていたことが18日、本紙の取材で明らかになりました。


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(写真)2棟の両国シティコアビル。都が13億円の債務を肩代わりする方針=東京都墨田区

 天下りを受け入れたのは「新宿モノリス」(新宿区)、「ハイジア」(同)、「両国シティコア」(墨田区)、「コスモス青山」(渋谷区)の4社。みずほ、三菱UFJ、住友、中央三井の信託4行が個別に出資しています。(住友と中央三井は4月1日に合併予定)

 4社とも社長は都OB(のべ23人、実数22人)の「指定天下りポスト」で、取締役や企画部長など幹部職にもOB11人が天下りしていました。

 新宿モノリスの歴代社長は6人で、初代は信託事業を担当した財務局管財部長です。両国シティコアの社長6人は住宅局(当時)理事、財務局理事、中央卸売市場長ら局長級でした。

 コスモス青山の初代社長は信託事業を手掛けた財務局長、副知事、出納長ら6人、ハイジアの社長は出納長や地労委事務局長ら5人が天下りしています。

 本紙の取材に対し、信託銀行はいずれも「当社はお答えする立場にない」と回答を拒否。あるビル管理会社の役員(銀行派遣)は「社長と部長の2人が都OBだ。詳しいことはお答えできない」と語りました。

解説

癒着の深さ裏付け

 東京都と企業の癒着は、築地市場移転予定地(江東区豊洲)の土壌汚染対策工事を受注したゼネコン13社への都OBの天下りを報じた本紙(2月27日付)で明らかになったばかりです。

 豊洲の工事入札(2011年8月)では談合情報を受けたにもかかわらず、都はゼネコンの言い分を聞いただけで、問題なしとして入札を強行しました。

 都の5件の土地信託事業はいずれも大不振で、20年の契約期間中に5659億円の信託配当を受ける計画が、実績見通しはその約1割という惨憺(さんたん)たる状況です。

 両国シティコアとコスモス青山の2件で、都が11年度に受けた配当はそれぞれ500万円。天下り社長の報酬にも及びません。

 都の元幹部は「局長級は1000万円、部長級は800万円程度の報酬でと、(天下り受け入れを)お願いしてきた」と語ります。

 7月に20年目を迎える両国シティコアは、銀行が利息収入と信託報酬で59億円余を得る一方、都の信託配当は6億4700万円と計画の8%弱です。しかも30億円の債務(借入金)が残るため、石原慎太郎知事は債務の43%、13億円を肩代わりする処理案を開会中の都議会に提案しています。

 都庁内から「天下りの弱みがあるから、都は信託銀行に強く言えないのではないか」の声もあがるほどです。

 コスモス青山初代社長の元都財務局長と両国シティコア初代社長の元住宅局理事は、それぞれ社長を退任後、ビル建築を請け負ったゼネコンの鹿島、清水建設に天下りしていた事実も本紙の調査で判明しました。癒着の深さを裏付けます。

 東京都は両国の債務処理策を撤回し、銀行に債務の全面負担を求めるとともに、利害関係のある企業への天下りを全面禁止すべきです。(岡部裕三)

 土地信託 土地を信託銀行に預け、建物の建設と資金調達、賃貸、管理を任せ、収益の一部を信託配当として受けとる制度。東京都は20年の期間満了時に、土地と建物を無償返還させる契約でした。

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