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「銭湯廃業」与党も異議

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銭湯=大阪市

 大阪市議会財政総務委員会(5月23日)で全会一致で採択された1件の陳情が注目されました。内容は銭湯への固定資産税(市税)減免措置の継続です。

 大阪府公衆浴場業生活衛生同業組合が提出し、橋下徹市長の与党「大阪維新の会」も賛成しました。

 橋下市長は「市税の減免は廃止が原則、来年4月から実施」と主張しています。この強引さには、「維新」の議員も「減免廃止は廃業に直結する」(5月22日同委員会)と、異議を唱えざるをえませんでした。

 陳情は、請願と違い本会議に諮られることはなく、委員会採択のみです。2009年から3年間で受理された陳情は231件、採択は10件(約4%)のみです。今回の採択には、与党なりの危機感が表れています。

風呂なし多く

 銭湯の固定資産税は国の通達で、全国的に3分の2相当額が減額されています。「公衆衛生への寄与」が主な理由です。

 市内の銭湯数は487(11年4月)、減税額は1億6500万円(10年度)です。風呂なし住宅は市内に7万6200戸あり、率で6%(全国平均1・4%)と非常に多いのが現状です。土地評価額も、大阪市は同市以外の府下に比べて2・3倍も高額です。

 陳情は「(減免廃止は)大阪市のような地価の高い地域においては浴場経営の命綱を切られるようなもので...(公衆浴場減少で)利用者の健康保持・増進が不十分になることが予想されます」と、懸念を表明しました。

 橋下市長は「減免を廃止しても新たに助成制度をつくる」としていますが、「廃業寸前の業をすべて助成し、守る必要があるのか」とも答弁(5月23日財政総務委員会)する強権ぶりです。

 日本共産党の山中智子議員は「来年度からの減免廃止だけ先行すると、お風呂屋さんは不安で眠れない。助成制度をつくるなら早く示せ」と迫りました。

減免廃止なら

 「山中さんのいう通り。橋下市長は風呂屋をいじめているだけ」と憤るのは、城東区で銭湯を経営する男性(52)です。父(84)、母(82)の3人で切り盛りしています。

 1993年の改築時の借金はまだ返済途中。車で遠くからやってくるお客さん用に、駐車場を借りるなど営業努力もしています。

 「でも、1日のお客さんが100人を切ることもあり、息子は給料もなし。2カ月で約10万円の夫婦2人の年金で細々と生活しています」と清子さん。

 男性は現在、約200万円の固定資産税を払っています。減免廃止となれば、単純計算で600万円に値上がりします。正浩さんは語気を強めて訴えます。

 「私たちは公衆衛生に寄与しています。個人の努力には限界があります。行政の力、支援が必要です。安心して銭湯をつづけたい」

(つづく)

(「赤旗」2012年6月13日付)

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