「戦争する国」への入り口―秘密保護法案Q&A(7)

 「秘密保護法」は米国が求めてきたものと聞きましたが…。

 米国は米軍と自衛隊の一体化や、日本との武器の共同開発が進む中、自らの軍事情報が日本から漏れることを懸念し、これを防ぐ措置(=罰則強化など)を繰り返し要求してきました。

 アーミテージ元国務副長官ら米国の超党派シンクタンクが発表した報告書は2000年、日本に秘密保護の法整備を要求。同報告書は、集団的自衛権の行使を求めるなど日米軍事同盟の強化に大きな影響を与えてきたものです。

 両政府間では05年の2プラス2(軍事・外交担当閣僚会合)共同文書で、「秘密保護の追加的措置」を軍事協力のための「不可欠な措置」として合意します。そこにはこんな一節があります。

あらゆる範囲で

 「部隊戦術から国家戦略レベルまで情報共有・協力をあらゆる範囲で向上させる」。米国の軍事戦略との“融合”を首脳(官邸)から末端の兵隊(戦場)まであらゆる層で進めるということです。

 07年には軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結。この中で米側は、日本側に提供した秘密軍事情報に「同等の保護」を求めました。つまり、米国自身が秘密漏えいに最高10年の懲役を科すのに対し、多くの場合が懲役1~5年で、秘密を扱う者への“身辺調査”制度もない日本の法制度が“甘い”ということです。「秘密保護法」ができれば、懲役が最高10年で「同等」になります。

 協定締結の前日、日本政府は公務員への“身辺調査”制度の導入を決定。今回の「秘密保護法」を先取りする措置を法律1本通すことなく成し遂げました。

 日米軍事一体化は、政府同士や軍同士にとどまりません。法案が軍需産業などの民間企業も秘密を扱うことを前提にするように、武器の共同開発の拡大も念頭にあります。

軍事国家に変質

 安倍首相はこの法案を集団的自衛権の行使や国家安全保障会議(NSC)の設置とともに、「日米同盟強化を見据えたもの」と位置づけています。そこには、政府から軍需産業まで一体となって「米国とともに戦争できる国」に変えるための“入り口”にする意図がはっきり示されています。

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 (2013年10月16日)

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