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2025年8月27日(水)

自民・萩生田氏

総選挙事務所12カ所 「貸してない」証言も

規正法違反の疑い

 自民党の萩生田光一元政調会長(衆院東京24区)が昨年の10月27日投票の総選挙の期間中に、「選挙事務所」として届け出た建物の複数の家主が、「貸した覚えがない」と本紙に証言しました。萩生田氏が借りた12カ所の事務所のうち、「事務所賃料」の領収書として東京都選挙管理委員会に提出されているのは8月中旬時点で3カ所分のみでした。(矢野昌弘)(関連記事)


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(写真)総選挙の投票日目前の昨年10月25日にJR八王子駅と私鉄の駅の中間にある歩行者が絶えないビルの前に設置された萩生田氏の選挙事務所(一部加工、読者提供)

 萩生田氏が都選管に届けた「選挙事務所異動届」によると、同氏は、昨年10月15日の公示から、投票日前日の同月26日まで毎日、選挙事務所を移動。合計12カ所に及びます。

 萩生田氏の「選挙事務所」は、賃貸物件のほかに、野外の広場や寺院、個人の家、自治会の会館となっていました。これらの建物の多くが、通行量のある交差点の近くや、JRと私鉄の駅をつなぐ大通りなどに面した場所にあります。

 本紙は、選挙事務所と届けられた場所を訪ねました。民家の住民は「貸してなんかいません。私は聞いたことがない」と否定します。

 賃貸ビルを管理する不動産会社の担当者は「(貸したという)話は聞いていない。初めて聞いた。(選挙事務所になっていることは)届け出されてるかも何かもわからない」と答えました。

 別の不動産会社は会社の事務所が選挙事務所にされていました。その職員は「詳しい者が不在だが、うちは選挙事務所にしていません。うちの駐車場で宣伝はしてましたけど」と述べました。

 賃料を企業に払っていない場合は、無償提供という形の献金になります。政治資金規正法は公職の候補者が企業・団体献金を受け取ることを禁じており、同法に違反する疑いがあります。

 こうした“日替わり事務所”の賃料はどうなっているのか―。萩生田氏が昨年12月までに都選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」には、支出の記載があったのは公示日の15日の分だけでした。

 本紙の取材に今年3月、萩生田氏の事務所は「貸し物件に関しては報告書は暫定的なもの。また確定したら追加で提出する。5月になる」と回答。「貸した記憶がない」との証言について「承諾なくお借りすることはあり得ません。(確認したところ)『共産党の機関紙が来たので答えなかった』とお申し出がありました」と答えました。

 取材後の4月、萩生田氏は追加の収支報告書を都選管に提出しています。そこには、昨年10月21日と26日の「異動事務所家賃」が計上されていました。しかし残りの9日分の「事務所賃料」については不明のままです。不明のものの中には企業が所有する賃貸物件もあります。


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