2025年5月17日(土)
選択的別姓 法務省96年パンフ
国会図書館に未納
「国政審議に役立てる」の法の趣旨逸脱
![]() (写真)広島市立中央図書館に収蔵された法務省民事局出版の小冊子 |
選択的夫婦別姓制度の導入を盛り込んだ1996年の法制審議会と民事行政審議会(ともに法相の諮問機関)の答申を説明した法務省民事局出版の小冊子『選択的夫婦別氏制度について(夫婦別姓選択制度)』(A5判、14ページ。同年9月出版)が、国立国会図書館に納本されていないことが分かりました。(関連記事)
国立国会図書館法は、国の諸機関が出版物を発行したときには「直ちに国立国会図書館に納入しなければならない」と定め、小冊子も対象です(第24条)。納本部数も規定され、その理由として、「国政審議等に役立てる」ことがあげられています。
今国会では、二つの審議会の答申に沿った民法改正案が衆院に提出されています。小冊子は、問答形式で「旧姓の通称使用」「子の姓」「戸籍」など、10の論点について、説明しており、審議にも役立つ内容となっています。
本紙が調べたところ、同冊子は少なくとも全国7カ所の公立図書館に所蔵されています。所蔵図書館によると、記録が残っている寄贈元は法務省の外局である法務局などです。一方、国会図書館には納本されておらず、所蔵が明らかとなっている7カ所に東京都は含まれていません。国会のある東京で閲覧や複写をすることができない状況は重大です。
国会図書館は、本紙の取材に、「小冊子の存在を確認の上、法律にもとづき納本の手続きをとりたい」と答えました。
地元の公立図書館で、同小冊子を借りた恩地いづみさん=広島市在住=は、「選択的夫婦別姓制度がよく分かる冊子です。国会で審議が始まる今、全国のどこでも見ることができるようにしてほしい」と話します。
(武田恵子)