2025年2月5日(水)
すでに限界まで負担
「高額療養費制度」引き上げ 白紙に戻せ
田村貴昭議員が迫る 衆院予算委
日本共産党の田村貴昭議員は4日の衆院予算委員会で、政府が2025年度予算案に盛り込んだ、医療費の窓口負担に上限を設ける「高額療養費制度」の負担上限額引き上げ方針について、患者団体などの強い不安の声を聞き、白紙に戻すよう政府に迫りました。全国がん患者団体連合会(全がん連)など3団体が政府方針の見直しを求めるネット署名が1月29日の開始以来、7万5000人を超えるなど短期間で反対の声が広がっていることを突きつけました。(詳報)
![]() (写真)質問する田村貴昭議員=4日、衆院予算委 |
外来特例を除く高額療養費の年間受給者は795万人で国民15人に1人の割合になります。そのうち4回以上受給している人は155万人にも及びます。
田村氏は進行性乳がんの標準療法の一つ「ベージニオ+アリミデックス併用療法」を例に、非正規の民間労働者の平均年収202万円では、(制度見直しにより)年収の3分の1が医療費負担に消えると指摘。「所得が低くて、長期療養の患者の負担は減るどころか増える。すでに限界まで負担している人がたくさんいる。(上限額の)引き上げではなくて、引き下げこそ必要だ」と迫りました。
石破首相は1月31日に「低所得の方、長期にわたって治療を受けている方々の負担を減らすかということは、厚生労働省において政府としてかなり綿密に考えた」と答弁しています。田村氏は、高額療養費制度の見直しを検討した社会保障審議会医療部会で、長期にわたって高額な治療をする人の1年間の負担額を試算した資料を示していない点を指摘。「審議会のメンバーにはがん患者団体が入っていない。上限額引き上げについて患者団体から直接話すら聞いていない」と批判し、「まさに上限額引き上げ先にありきだ。社会保障費の抑制先にありきだ。これで低所得の方の経済的負担に綿密に配慮した検討と言えるのか」とし、引き上げの中止を求めました。
石破首相は「あらゆる可能性はある」と述べる一方、「凍結とか白紙に戻すことだけが解決策だとは今の時点で認識しているわけではない」と答えました。