2024年11月24日(日)
軍事でなく外交を 排除でなく包摂を
プノンペンでアジア政党国際会議総会
志位議長が発言
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【プノンペン=面川誠】アジア政党国際会議(ICAPP)の第12回総会が22日、カンボジアの首都プノンペンで、「平和と和解の探求」をテーマに始まりました。日本共産党の志位和夫議長は総会の全体会合で、「軍事でなく外交を、排除でなく包摂を」と題して英語で発言しました。(発言全文)(日本共産党の要請文)
カンボジアで総会が開かれるのは2010年以来、14年ぶり2回目。アジア28カ国から49の政党が参加。欧州、アフリカ、中南米からもオブザーバーとして15カ国から16政党が参加しました。
志位氏は、東アジアで排他的なブロック対立が強まっていることを「強く憂慮」するとともに、「その先に平和は決して訪れません」と批判。他方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に東アジアのすべての国を包み込む包摂的な平和の枠組みの実現をめざす希望ある流れ―ASEANインド太平洋構想(AOIP)が発展しているとして、日本共産党が4月に発表した「東アジア平和提言」を紹介。この方向にこそ、平和、協力、繁栄の東アジアの未来があると強調しました。
そしてICAPPが、「アジア共同体の構築」をビジョンに掲げ、アジアのすべての政党に開かれた包摂的なプラットフォームとしてAOIPと同じ目標を目指していると指摘して、ASEANとの協力とAOIPへの支持を呼び掛けました。前回22年の総会で採択されたイスタンブール宣言が、「ブロック政治を回避し、競争よりも協力を」と呼び掛けたことに触れ、こうした内容が今総会の最終文書に引き継がれることを期待すると述べました。
志位氏はさらに、ウクライナ侵略とガザでのジェノサイド(集団殺害)が恐るべき犠牲をもたらし、世界平和への脅威となっていることを指摘するとともに、「どちらの問題も解決策は軍事ではありません。国連憲章と国際法にもとづく対話と交渉が解決の唯一の道です」と強調。「ダブルスタンダード(二重基準)」を退け、誰に対してであれ、国連憲章と国際法は平等かつ普遍的に適用すべきだと訴えました。
核軍縮の緊急性を強調し、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が今年のノーベル平和賞を受賞したことを日本国民が強く歓迎していることを紹介。広島と長崎への原爆投下から80年を迎える来年を前に、「総会として核兵器禁止条約への歓迎と、『核兵器のない世界』にむけた決意を、世界に発信しよう」と呼び掛けました。
全体会合の進行役を務めたムシャヒド・フセイン・サイードICAPP共同議長(パキスタン)は、「志位氏は、私の古くからの友人で、パキスタンに来てくれたこともあるアジアの思慮深い政治指導者です」と紹介。発言をうけて、「ガザでのジェノサイド、ダブルスタンダード、イスラエルの占領に反対する闘い、日本被団協へのノーベル平和賞に言及したことは、とても的確な指摘でした」と述べました。
発言した政党代表の多くは、対話を重視し、包摂性を重視してこそ平和が実現できることを強調しました。単に武力紛争がないだけでは平和は実現できず、違いを認め合い多様性を尊重する対話と相互理解、正義を追求する意思とその実現をめざす人々の参加の重要性などが強調されました。ガザでのジェノサイドを終わらせるための緊急の行動が必要だという発言が相次ぎました。
会議の主催者からも、参加者からも「広い視野に立って平和をつくる道を示す素晴らしい発言だった」「ガザでのジェノサイド中止で連帯したい」など、志位氏のスピーチを評価する声が寄せられました。