2023年9月28日(木)
ヤマト運輸、パートも解雇
「来年1月一斉に」通告
宅配大手のヤマト運輸が、カタログやチラシを配達する「クロネコDM便」と小荷物を配達する「ネコポス」の「投函(とうかん)商品関連業務」(ポストに投函できる荷物の仕分けや配達)に従事するパート社員との雇用(労働)契約について、来年1月末に一斉に打ち切ろうとしていることが分かりました。集荷以外の業務を日本郵便に移管するため、契約を終了する予定だと、当事者に対して6月に通告していました。
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ヤマト運輸の業務移管をめぐっては、本紙の取材により、配達を担う約3万人の個人事業主との業務委託契約を一方的に終了する計画が発覚していました(8月8日付既報)。今回、ヤマト運輸が直接雇用する労働者についても契約を打ち切る計画であることが判明したものです。
ヤマト運輸の「ベース」と呼ばれる配達拠点でクロネコDM便の仕分け作業を担っている50代のパート社員は、6月に上司から来年1月末での契約終了を告げられました。
「『他の部署に移れないのでしょうか』と尋ねても、『本社の意向なので』と、けんもほろろでした。10年以上勤めてきて、無期雇用の新しい契約書にサインしたばかりでした。人手の不足しがちな夜勤に入り、DM便以外の業務もこなして、重宝がられてきました。たまたまいま『DM班』に配属されているだけなのに、問答無用で契約終了といわれても納得できません」
ヤマト運輸は本紙の取材に対し、「個別の契約に関わる事項については回答を差し控える」として、契約終了の対象者数などを明らかにしていません。公表資料によれば、荷物を仕分け・出荷するヤマト運輸の「ベース」は全国に77あります(3月31日現在)。クロネコDM便などの投函商品関連業務に従事するパート社員は各ベースに数十人ずつ配置されているとみられ、全国で数千人にのぼる可能性があります。6カ月などの有期契約を中途で解除される人や、無期契約を打ち切られる人が多数出る恐れがあります。
労働契約法16条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、解雇(使用者の申し出による労働契約の終了)は権利の乱用として無効になると定めています。また同法17条は、有期労働契約の場合、やむを得ない事由がなければ期間満了まで解雇できないと定めています。(解説)