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2022年5月12日(木)

「安全保障」口実に権力介入

経済安保法成立 田村氏が反対討論

米国の対中戦略に企業や研究開発を組み込むもの

 外交・防衛政策とともに、経済政策を国家安全保障の柱にすえる経済安全保障法が11日の参院本会議で自民、公明、立民、維新、国民の各党の賛成で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。日本共産党の田村智子議員は討論で、同法案が、中国の経済力・軍事力を脅威とする米国の安全保障戦略と軌を一にしたものであることをあげ、「仮想敵を前提とした安全保障戦略に、企業活動や研究開発を組み込むことは、民間企業や大学等への国家権力による監視や介入をもたらす」と指摘。しかも、政府が経済安全保障について「定義はない」と開き直り、具体的な目的・政策を明らかにしていないとして、「安全保障を理由とする規制が誰に対して、どのように行われるか、政省令に白紙委任するなど断じて認められない」と批判しました。(討論要旨)


写真

(写真)反対討論する田村智子議員=11日、参院本会議

 同法案は、「特定重要技術」の開発支援として官民協議会を設置することや、特許の非公開制度の導入、政府が指定する「特定重要物資」の安定供給のための計画提出などが盛り込まれています。

 田村氏は、何が「特定重要技術」に当たるのか、官民協議会の設置を求めるかは、研究資金をもつ政府の判断に委ねられ、政府が研究成果の非公開を要請することも可能になっていることなどをあげ、「このような政府による関与は、学問の自由への介入であり、研究の発展を阻害する」と指摘。戦前の秘密特許制度の復活である特許の非公開制度が産業発展を阻害することや、安全保障を理由に企業活動への政府の監視・介入が強化される危険性を強調しました。

 そのうえで、田村氏は「日本にとって最も問われるのは、米国からの自立であり、労働者をコストとみなしてきた経済政策の転換だ」と指摘。「国家体制や宗教などが異なる多様な国々を『価値観』によって分断し、敵対するのではなく、平和と共存共栄の国際秩序をいかに構築するか、それこそが追求すべき真の安全保障だ」と強調しました。


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