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2022年5月10日(火)

経済安保法案の秘密特許制度 産業発展を阻害

岩渕議員追及 発明の長期非公開も

与党議員も「知らなかった」

 週内にも法案採決が狙われている経済安全保障法案は、日本を軍事・経済の両面で米国の戦略に組み込むものです。日本共産党の岩渕友議員は4月26日の参院内閣・経済産業両委員会の連合審査で同法案に盛り込まれている秘密特許制度を取り上げ、「日本の産業発展を阻害する」と追及。与党議員からも「共産党らしい質問だった」と評価する声も上がりました。


写真

(写真)質問する岩渕友議員(右端)=4月26日、参院内閣・経産連合審査

 特許制度の目的は、発明を保護・奨励し、産業の発達に寄与することです。同制度では、発明した人が特許の出願を行い、出願内容が一般に公開されます。発明を公開する代わりに、一定期間、その発明を独占的に使用することができる権利(特許権)が与えられます。発明した技術内容を公開することで、多くの人にその技術を知ってもらい、活用することができます。新しい技術を人類共通の財産としていくためのもので、技術の進歩を促進し、産業の発展に寄与するものです。

 ところが日本と米国との間では、「防衛関連」の特許について秘密保持をする「日米防衛特許協定」がすでに結ばれています。

 岩渕氏は、この「日米防衛特許協定」を取り上げました。秘密が解除されて公表された99件の特許のうち、純粋な軍事技術は1割にも満たず、秘密保持指定となっている技術の対象が軍民両用技術に拡大している実態を示しました。

全体をカバー

 「日米防衛特許協定」では、米国が秘密にした特許が日本でも秘密にされるという限定的なものです。経済安保法案では特許制度全体をカバーすることになります。岩渕氏は、「軍事企業の促進、軍、産、学の軍事複合体に道を開くもの」と批判しました。

 また岩渕氏は、秘密にする期間の延長について更新回数に上限がないことについて質問しました。

 岩渕 保全対象発明として指定をされると一年以内の保全指定が行われて、継続をする必要があるという場合は一年(を)超えない範囲で期間延長できると、つまり一年更新で期間延長されるわけですよね。この期間延長の上限は何年になっているでしょうか。

 小林鷹之経済安保担当相 期間延長の回数につきましては、上限は設けておりません。

 岩渕 日米防衛特許協定の例を見てみますと、1988年に出願をされた特許が秘密指定解除されたのは2008年というものもあるわけですね。20年も秘密指定されていたということになります。

期間は無制限

 岩渕氏は、「日米防衛特許協定」の下で、秘密指定解除まで20年の年月が経過している実態を示し、加えて今回の経済安保法案には、保全期間に制限がないことを明らかにしました。与党議員からも「20年間も秘密だったとは知らなかった」と、驚きの声があがりました。

 産業技術の発展には、研究者たちの自由な研究のための情報交換が不可欠です。研究者が最新技術を学び、研究者同士で情報を交換し、議論をするという自由な環境の中でこそ新しいアイデアが生まれ、イノベーションの創出につながります。

 ところが今回の経済安保法案では、情報漏えいした場合に罰則規定も設けられています。

 岩渕氏は「秘密特許制度は、戦後、日本国憲法の戦争放棄の規定に抵触するということを理由に廃止をされました」「産業の発達を阻害するおそれがあるこの秘密特許の導入はやめるべきだ」と強調しました。


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