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2022年5月8日(日)

「平和で豊かな沖縄」へ

デニー知事、新たな建議書

辺野古新基地断念求める

 沖縄県の玉城デニー知事は7日、県庁で記者会見し、沖縄の本土復帰50年にあわせた「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を公表しました。1971年に琉球政府が日本政府へ提出した「復帰措置に関する建議書」で掲げられた「基地のない平和な島」などの実現や、辺野古新基地建設の断念、日米地位協定の抜本改定、日本国憲法の理念の追求などを日米両政府に求めています。


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(写真)新たな建議書を公表するデニー知事=7日、沖縄県庁

 デニー知事は「復帰措置に関する建議書に込められていた県民の願いはまだ実現できていないことを改めて確認し、それを解決するための道筋をしっかりと歩むべく今回の建議書を取りまとめた」と語りました。

 新たな建議書は、復帰時の沖縄の状況から復帰後の50年を振り返るとともに、いまだ残る課題と未来への展望を示し、政府に対し「平和で豊かな沖縄」実現の取り組みを建議。「復帰時において沖縄県と政府が共有した『沖縄を平和の島とする』目標は、50年経過した現在においてもいまだ達成されていない」と指摘しています。

 県土の中心部分を占有する基地の存在が沖縄振興の「大きな障害となっている」とし、米軍機の墜落や米兵らによる殺人など基地から派生する事件事故や環境汚染が県民の安全安心を脅かしていると強調。辺野古新基地建設は県民に新たな基地負担を強いるものだとして断念を訴え、基地問題の早期解決を求めています。

 アジア太平洋地域の安全保障環境に関する沖縄の軍事的機能強化や核兵器の共有、敵基地攻撃能力の保有などの動きについて、「このような考えは悲惨な沖縄戦を経験した県民の平和を希求する思いとは全く相いれるものではない」と批判。平和的な外交・対話による緊張緩和と信頼醸成を訴えています。

 建議書は、有識者会議や県民から募集した意見も踏まえてまとめました。デニー知事は10日にも上京し、岸田文雄首相や衆参両院議長、駐日米国大使に建議書を手渡したいとしています。

沖縄 日米両政府への建議

 沖縄県の玉城デニー知事が7日公表した「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」での、日米両政府への建議は以下の通りです。

 1、沖縄の本土復帰において「沖縄を平和の島とする」ことが沖縄県と政府の共通の目標であることを改めて確認し、これを含めた沖縄の本土復帰の意義と重要性について国民全体の認識の共有を図るとともに、50年前の「復帰措置に関する建議書」に掲げられた「地方自治権の確立」、「反戦平和の理念をつらぬく」、「基本的人権の確立」、「県民本位の経済開発」等の考え方を尊重し、自立型経済の構築および「基地のない平和の島」の実現にいっそう取り組むこと。

 2、「沖縄県民総意の米軍基地からの『負担軽減』を実行」するよう求めた建白書(2013年)の趣旨も踏まえ、在沖米軍基地のさらなる整理・縮小、日米地位協定の抜本的な見直し、基地の県外・国外移設、事件・事故などの基地負担の軽減、普天間飛行場の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去、辺野古新基地建設の断念など、構造的、差別的ともいわれている沖縄の基地問題の早期の解決を図ること。

 3、日本国憲法が保障する「民主主義」や「地方自治」について、正当な手続きにより示された民意や、地方公共団体が自らの判断と責任で行政を運営するという原則を尊重し、日本国憲法に掲げる理念の追求に向け不断に取り組むこと。

 4、わが国を取り巻く国際情勢を踏まえ、アジア太平洋地域において、武力による抑止が国・地域間の緊張を過度に高め、不測の事態が起こることのないよう最大限の努力を払うとともに、平和的な外交・対話により緊張緩和と信頼醸成を図ることで同地域の平和の構築に寄与するなど、わが国が国際社会において名誉ある地位を占めるべく積極的な役割を果たすこと。その際、独自の歴史や多様性を持つ沖縄を最大限活用すること。


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