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2022年5月7日(土)

主張

岸田首相憲法発言

改憲への執念は見過ごせない

 岸田文雄首相が憲法施行75年の憲法記念日の3日、産経新聞の単独インタビューにこたえて改めて憲法9条への自衛隊明記など改憲への執念を表明しました。同日の改憲派の集会にも、「緊急事態条項」の創設など改憲実現を訴えるメッセージを寄せました。首相は「産経」インタビューで今夏の参院選で改憲を自民党の公約に盛り込む方針を明らかにしました。改憲の企てを許さず、憲法を守り生かす取り組みを全国津々浦々で強めることが急がれます。

「機運づくり」を強調

 自民党は、岸田首相就任後に憲法改正推進本部を実現本部に改組するなど、改憲に向けた世論づくりを強化しています。岸田首相は、「産経」インタビューで、今国会で9年ぶりに衆院での予算審議中に憲法審査会が開かれたことに触れ、「国会での議論が国民の理解や盛り上がりにつながっていくことが大事だ」と強調しています。それは、国民の中では自民党の思惑通りに改憲機運が高まっていないことの裏返しでもあります。

 憲法施行75年に当たっての共同通信の世論調査でも、岸田首相が自民党総裁任期中に目指す改憲の機運は、国民の間で「高まっていない」と思う22%と「どちらかといえば高まっていない」と思う48%を合わせ70%に上っています。(「東京」2日付など)

 岸田首相は「産経」インタビューで、憲法に自衛隊を明記する自民党案について「ウクライナ侵略という事態もあり、…自衛隊に対する期待や評価も高まっている」とし、「自衛隊の違憲論争に終止符を打つため、大変重要な課題であると(国民に)丁寧に説明を続けていきたい」と述べています。

 ロシアによるウクライナ侵略に乗じて自衛隊を憲法に明記すべきだという主張に対しては、「憲法を改正して自衛隊を明記すれば『日本から攻撃される危険が増した』として、他国に軍備増強の口実を与えかねない」「『改憲して武力を持てば国を守れるようになる』という改憲派の主張は現実を見ていない」(藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員、琉球新報4日付)との批判が上がっています。

 安倍晋三元首相が2017年に言い出した自衛隊の明記案は、9条2項の戦力不保持規定を空文化させ、無制限の海外での武力行使を可能にするものです。

 自民党は、9条改憲と合わせ、軍事費を国内総生産(GDP)の2%を念頭に拡大し、「敵基地攻撃」能力を保有するなどの大軍拡を主張しています。この道を進めるなら、日本が再び「戦争する国」になるのは明らかです。

 米国が海外で戦争を始めれば、自衛隊が米軍と一体になって「敵基地」を攻撃し、その戦火が日本に及んでくる事態になりかねません。9条改憲は、日本を守るどころか、日本を戦争にひきずりこむ危険なたくらみに他なりません。

参院選の重大争点に

 6月22日公示予定の参院選で改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2以上の議席を確保することを、絶対に許してはなりません。

 日本を「戦争する国」にする道を阻み、9条など憲法を守り生かし、平和外交で世界の平和に貢献することが必要です。参院選で改憲勢力を少数に追い込み、9条に自衛隊を明記する改憲を阻止することが不可欠です。


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