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2022年5月4日(水)

経済安保法案は米中覇権争いに経済・研究も使うもの

「大学人と日本共産党のつどい」 田村副委員長の訴え

 日本共産党の田村智子副委員長が4月29日の「大学人と日本共産党のつどい」で行った訴えのうち、経済安全保障法案に関する部分を紹介します。


写真

(写真)あいさつする田村智子副委員長=4月29日、党本部

 比例代表で3期目を目指します。比例の予定候補者チーム5人、東京選挙区の山添拓さんをはじめ全国の選挙区予定候補者を代表する思いで、参院選挙勝利への決意を述べたいと思います。

 今国会の論戦を通じて、改憲勢力に3分の2を占めさせるわけにはいかないという、日々沸騰するような思いを抱いています。

 昨日、参議院内閣委員会では、経済安全保障法案の質疑終局となり、連休明けに採決することを決めました。終局に反対したのは日本共産党だけでした。

 「経済安保」というと、食料やエネルギーの自給率を高めようとか、海外に頼りすぎる生産ラインを国内で立て直そうということのように聞こえます。ところが全く違うのです。

 中国の経済力、軍事力の急速な拡大に対してアメリカが中国を脅威とみなし、覇権争いが深まる中で、日本の中でも「経済安保」という議論が急浮上してきました。軍事的対決とともに、経済活動や研究、技術開発をも対決の力に使っていく。それが経済安全保障に他なりません。

最先端技術を転用

 とりわけ最先端の技術、あるいはその研究開発はそのまま軍事目的に転用できるとして、経済安保の柱となる政策とされました。

 防衛装備庁だけでなく、他の省庁が持つ競争的研究資金でも、政府がその研究に直接関与して、研究の成果を公開するのかどうか、そこにも政府の意思を反映させることができるという新たな仕組みがつくられようとしています。

 中国の覇権主義、中国からの組織的なサイバー攻撃、知的財産権をめぐる問題などは、事実に基づき厳しく批判され、外交的に解決されなければなりません。しかし、大学や研究までも仮想敵を持って対立に巻き込むことはあってはならないことです。国家の安全保障を振りかざした学問研究への直接的な介入を新たにもたらしてしまうことは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。

 会議録で、日本共産党の質問を読んでいただきたいんですが、実は自民党の質問もぜひ見ていただきたいと思うんです。

 参院で行われた質問だけでも、日本学術会議の軍事的安全保障研究に関する声明を何度もやり玉に挙げて、学術会議の改革を迫る。日本学術会議の声明が、大学の研究の自由を奪っているとまで言う。そしてこの声明が大学にもたらしている影響を調査せよと求めることまで自民党の議員は行っているのです。

 質問の中では、有力な右翼雑誌『正論』の中に、各大学の軍事研究との距離感が一覧表になったものがあり、これを国会質疑の資料として配布し、軍事目的研究を禁止している大学が研究の自由を奪っていると、個別の大学を意識した質問まで行われているんです。その中に「非核平和宣言」まで入っているんです。1980年代などに行われた大学の「非核平和宣言」さえも敵対視をする。

 私は、こうした質問を聞きながら、滝川事件、天皇機関説事件、学問研究に帝国議会での質問がきっかけとなって、言論の自由がこうして封じ込められたことで日本の道をどれだけ誤らせてしまったのか、その政治の責任を自覚しないこの国会論戦に腹の底からの怒りが深いところから湧いてまいります。

知性の声と連帯し

 同時に、自民党や日本維新の会の質問を聞いて思い浮かべていることが、安保法制を強行する安倍政権に対して、研究者、学者、大学人の中から「反知性」だと喝破するたたかいが起こったことです。日本学術会議会員任命拒否に、学会・学会長に「任命せよ」の声が広がったことです。今のウクライナ侵略戦争に対しても国連憲章違反、国際人道法違反の立場で抗議の声をあげる。

 こうした知性と理性の声に最も固く連帯し、がんばり抜いているのが日本共産党だと確信しています。

 何としても、今度の選挙で日本共産党を躍進させていただいて、不安をあおり、9条改憲へ国民を駆り立てようとする勢力を包囲していかなければなりません。

 みなさんとの連帯を大きく広げる先頭に立つ決意です。


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