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2022年4月29日(金)

主張

カジノ申請期限

賭博頼みの経済政策と決別を

 岸田文雄政権はIR(カジノを中核とする統合型リゾート)誘致を目指す地方自治体の認可申請を28日の期限で締め切りました。今後、国の有識者会議の審査を経て、国土交通相が認可する手続きです。安倍晋三・菅義偉両政権が敷いたカジノ推進のレールをひた走る岸田首相の責任は重大です。

「空想」と化した計画

 締め切りまでに国に区域整備計画(カジノ計画)を提出したのは大阪府・市、長崎県の2カ所にとどまりました。国は今回の認可の上限を3カ所としていましたが、それは不可能となりました。

 知事が強引にカジノ誘致計画を進めていた和歌山県では、県議会が区域整備計画の申請を承認せず、断念に追い込まれました。一部与党議員も否決に回りました。

 「資金調達の計画が不確実だ」というのがその理由です。日本共産党は「これまで指摘されてきた問題が解決されておらず、住民合意もない」と反対を主張しました。議会が行政にたいするチェック機能を発揮した結果と言えます。

 認可申請した長崎県が事業者に選定したのは「カジノオーストリア」の子会社です。同国の小規模なカジノ企業で、とても日本で巨大事業を担っていくだけの資金力はありません。議会ではその点に疑問の声が上がる中、県が押し切る形で申請にいたりました。

 大阪府・市は米国のカジノ大手MGMと日本のオリックスの共同企業体を事業者に選びました。MGMは財務基盤がいいとされましたが、財務は「借金漬け」というのが現実で、米国の大手格付け会社もきわめて厳しい評価です。

 大阪・夢洲(ゆめしま)のIRには、事業者の要請で市が790億円もの土地対策費を支出します。カジノの年間売り上げ4200億円は過大推計で「空想的な数字」といわれます。

 自民、公明、日本維新の会のカジノ解禁論者たちは、カジノが巨大なもうけをあげ、大きな経済効果を生むと主張してきました。

 カジノのもうけで、世界最高水準の国際会議場、展示場、ホテル、エンターテインメント施設をつくって1兆円規模の投資をすれば世界中から多くの観光客が集まり、その経済効果は「日本の成長戦略の目玉になる」(安倍元首相)というわけです。

 しかし、新型コロナ発生後の世界で、地上型カジノ、巨大なハコモノに客を詰め込み、24時間365日、ひたすらギャンブル漬けにしていくというビジネスは破綻が浮き彫りになっています。

 日本のカジノへの1兆円規模の投資を公言してきた米国やマカオの大手カジノ企業が次々に日本からの撤退を表明したのも、こうしたカジノ事業の行き詰まりがその背景にあります。

多大な害悪もたらすな

 日本共産党の大門実紀史議員は3月14日の参院予算委員会で、IR推進の前提が完全に崩れていることを示して計画全体の見直しを迫りました。岸田首相は「わが国が観光先進国となる上でIRは重要な取り組みと考える」と答弁をしました。安倍・菅路線を継承した賭博頼みがあらわです。

 いくらIRとごまかそうと、その収益の8割はカジノから得る計画です。依存症を生み、社会に多大な害悪をもたらす賭博依存の経済政策とは決別すべきです。


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