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2022年4月18日(月)

シリーズ 維新の会 その実像は

大阪カジノ誘致

際限なき公金投入

 大阪の維新府・市政はカジノを中核とする統合型リゾート(IR)を人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)に誘致する計画案を28日の期限までに国に申請しようとしています。維新、公明党などの賛成多数によって府・大阪市議会での同意議決を経たものですが、計画案の中身が明らかになればなるほど矛盾が噴出。「国に申請するな」「国は認可するな」と誘致断念を迫る声は高まるばかりです。

ターゲット日本人

収益はカジノ

 大阪IRの収益見込みの8割はカジノ。ターゲットは日本人です。「(年間4200億円を見込む)カジノの売り上げが上がれば上がるほど、大阪周辺の一般市民の不幸が積み重ねられる構図になる」。3月29日の大阪市議会本会議で日本共産党の山中智子議員はカジノ計画案の反対討論で厳しく批判しました。

 府議会に続いて同日の市議会本会議で計画案は維新、公明らの賛成で同意議決されました。日本共産党大阪府常任委員会は同日、「府・市は国に申請するな」「国は認可するな」と声明を発表。「カジノよりコロナ対策を」「大阪にバクチ場はいらない」「子どもたちにバクチと犯罪の街を渡さない」「人の不幸の上に大阪の成長はない」の声をすみずみに広げ、大阪へのカジノ誘致を断念させようと訴えました。

公聴会は9割反対

住民合意なし

 IR整備法は「住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない」と明記しています。ところが、住民説明会は途中で中止。カジノに反対する大阪連絡会が2月に実施した1000人調査では、カジノ誘致計画を府民に知らせずに議会で同意議決することについて「このまま議決すべきではない」が56%を占めました。メディアも「IR誘致、地元住民と合意したのか 公聴会では9割反対」(「朝日」3月10日付)と報じるように「住民合意」はどこにも存在しません。

インフラ整備膨れ

「成長」と無縁

 府・市議会の論戦ではカジノの大阪誘致計画が「大阪の成長」とは無縁な危険な計画であるばかりか、いかにカジノ事業者いいなりの計画かが次々に明らかになりました。

 コロナ禍で前提条件が大きく崩れているのに、IR区域への来訪者見込みは年約2000万人(うち国内約1400万人)。カジノ施設への日本人の入場者見込みは年約1067万人。カジノ事業者も認めたようにギャンブル依存症がカジノ入場者の約2%とすると、毎年20万人以上の依存症患者が生まれることになります。

 人の不幸を量産するために、どれだけ公金を投入するのか。日本維新の会の松井一郎代表は知事時代も大阪市長になっても「カジノに、税金は一切使いません。これは民間が投資する話」と述べていました。ところが、予定地の夢洲の土壌汚染や液状化の恐れが発覚し、大阪市は「土壌改良」に公費で約790億円負担すると公表しました。夢洲へのアクセス道路である淀川左岸線2期工事の事業費が1756億円上振れするなどインフラ整備費用はどこまで膨れ上がるかわかりません。(別表参照)

図

事業者いいなりに

契約は35年間

 カジノ事業者との契約は35年間。大阪府・大阪市の側から契約解除を求めると、府・市がカジノ事業者に損害賠償するという「契約」です。一方、カジノ事業者には解除権があります。

 大阪府・市がカジノ事業者と締結した「基本協定」(2月15日)によると、投資リターンに著しく悪影響を与える地盤沈下、液状化、土壌汚染などやそれ以外の土地・土壌に関する事象の存在が判明した場合は、土地所有者(大阪市)が費用負担も含め適切な措置を講じることが盛り込まれました。条件が充足されなければ、協定を解除できるとなっています。事業者いいなりに際限なき費用負担となりかねません。国内外の観光需要がコロナ禍以前の水準まで回復することが見込めない場合も解除できます。

 3月16日に開かれた大阪市議会都市経済委員会での「大阪IR株式会社」代表取締役の参考人聴取で、日本共産党の山中議員が「新たな土壌問題が起こった場合、事業の進捗(しんちょく)が困難だと表明することはあり得るか」と質問したのに対し、オリックスの高橋豊典執行役は「1兆円を超える投資。可能性は低いが、あるかなしかで言えば、あるかもしれない」と答弁。山中議員が「観光需要がことしの年末までに回復しない場合、基本協定の解除もあり得るか」とただしたのに対し、日本MGMリゾーツのエドワード・バウワーズ社長は「安易な撤退は考えていない」としながらも、「難しい投資判断だ」との認識を示しました。

自民市議団は反対

推進派からも

 「非現実的な『絵にかいた餅』のような計画」で自民党大阪市議団も異論の声をあげているとして、日本共産党の大門みきし参院議員・比例予定候補が建設計画の中止を岸田文雄首相に迫った(3月14日の参院予算委員会)ように、IR推進派内の矛盾も引き起こしています。

 カジノ計画案に自民党府議団は賛成(3人が会派離脱)しましたが、自民党大阪市議団は反対しました。自民党の機関紙「自由民主」3月29日号は1面に「大阪IR 『維新』を追及 自民議員団が大阪市会で鋭く」の見出しをたて、7面で詳報。自民党は「自治体が誘致するIR整備推進を後押しする立場だ」とことわったうえで、大阪IRについて「最大の問題は土壌汚染・液状化等対策費790億円が突如として浮上したことだ」として、「公金は一切投入しない」「0円で実現するIR」と言っていた維新を批判しています。

声を届ける議席を

断念へ幅広く

 府議会・大阪市議会では議決されたものの、誘致断念を迫る運動はつづいています。個人のよびかけで始まったカジノの是非を決める住民投票を求める直接請求署名も広がりをみせています。日本共産党は、カジノ反対大阪連絡会がすすめる宣伝・対話・申し入れや「住民投票」の取り組みなどさまざまな市民団体・個人と連帯し、カジノ誘致断念に追い込む幅広い運動をよびかけています。

 カジノ誘致は参院選でも争点のひとつ。大阪選挙区(改選数4)で勝利をめざす日本共産党の、たつみコータロー(辰巳孝太郎)前参院議員は「いま大阪の参院議員は全員カジノ推進派。大阪をギャンブルの街にするなという府民の声を届ける議席を勝ち取らせてください」と訴えます。


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