しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年4月15日(金)

自民党「山口県庁ぐるみ選挙」

“電話作戦”上司指示

90年代からの慣例 元県職員語る

 山口県の小松一彦前副知事が昨年10月の衆院選山口3区で自民党の林芳正外相を当選させるため、部下らに後援会の勧誘活動をさせたとして公職選挙法違反の罪で略式起訴された事件。本紙の取材に元県職員の男性(60代)が、1990年代から知事選や国政選挙での協力依頼が「慣例的に行われていた」などと証言しました。(丹田智之)


 県の調査チームによる部課長級の職員へのアンケート調査では、選挙での協力依頼が以前から「常態化していた」と128人(42%)が回答しています。

演説会“動員”も

 本紙の取材に応じた元職員は、有権者に自民党が支援する候補者を当選させるための電話作戦や候補者の演説会への参加などの協力依頼を上司から受けたことがあると証言。「強制されたわけではないが、部長級から課長級の職員への伝達で慣例的に行われていた。おかしいと言うことはできなかったが、違和感があった」といいます。

 上司の指示による電話作戦は「複数回の選挙で経験した」と説明します。

 「選挙期間中に部次長が『投票率アップの呼びかけを』と指示した。課長級職員が自ら電話をかけた本数をとりまとめ、部次長に報告していた。日報体制だった」

 元職員は90年代の知事選での電話作戦の様子を明かします。電話の相手は退職した元同僚などで、自民党が支援する候補者への投票を依頼する趣旨は「言わなくても伝わった」といいます。

 県庁前や市民会館での候補者の演説会に参加するよう求められたこともあったと振り返ります。「上司や同僚の目があるから仕方がないと思い、何度か参加した」

 選挙での協力依頼のほかに、自民党関係の政治資金パーティーの誘いも―。

 「ある日、家のポストにパーティーの案内状と振込用紙が届いた。職員の氏名と住所は職場の誰かが自民党関係者に提供したのだろう。上司から『家に届いたら職場に持ってくるように』と指示され、振込用紙を提出した。代金は払わなかった」

 元職員は案内状を見て会場にも行きましたが「自分が参加する場ではない」と感じ、足早に帰宅しました。

「連綿と続いて」

 県の調査報告書は、衆参の国政選挙、知事選、県議選、市長選、市議選でも同様の依頼行為が確認されたとしています。元職員は「『何を今さら』という印象を受けた。県庁内で連綿と続いてきたのではないか」と厳しく指摘します。

 県は小松前副知事に協力を要請した「自民党関係者」が誰なのかも公表せず、事件の全容解明に消極的です。

 元職員は強調します。「自民党側は何の反省もしていない。県が取りまとめた再発防止策も年月がたてば“うやむや”になり、これまでと同じようなことが起きるのではないか。自民党の責任を明らかにする必要がある」


pageup