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2022年4月13日(水)

「反戦デモ」敵視講演

防衛省 事前に把握

 陸上自衛隊の湯浅悟郎陸上幕僚長(当時)が2019年の講演で反戦デモが「反戦気運などを高めて国家崩壊へ向かわせてしまう」とのべた問題で、この講演内容を防衛省が事前に把握していたことが12日、本紙の調べでわかりました。


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(写真)防衛省=東京都新宿区

 防衛省は「自衛隊員による部外に対する意見発表について」(2009年4月1日施行)という防衛大臣通達を出しています。この通達は「職務に関係する意見を部外に対し発表する際には(中略)あらかじめ文書をもって届け出るよう」求めています。

 通達で、陸上自衛隊トップの陸上幕僚長は、防衛省の大臣官房長に届けることとされています。

 本紙の取材に防衛省は「ご指摘の件について、事前に文書をもって通報がなされたと承知している。また、その際に資料にグレーゾーン事態として『反戦デモ』の記述があったと承知している」と認めました。

 陸自元幹部OBらで組織する偕行社の月刊誌『偕行』(19年12月号)によると、湯浅氏は偕行社の講演で、「グレーゾーン事態にどう対応するかを考える。これらは報道戦、テロ行為、扇動による反戦デモなど多様な形態がある。この事態の特徴は、国家が非常事態であると認識する以前に反戦気運などを高めて国家崩壊へ向かわせてしまう危険性があること」とのべています。

 「グレーゾーン事態」とは、武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要するものとされ、安保法制を発動する対象となる事態のことです。湯浅氏の講演では、反戦デモや報道がテロと同列に置かれています。

 6日の衆院外務委員会で日本共産党の穀田恵二議員は「陸幕長があちこちで講演している疑いがある。事実関係を調査して公表を」と追及。鬼木誠防衛副大臣は「防衛省として、これまで、合法的に行われる反戦デモをグレーゾーンのひとつとして位置づけたことはない。調査する必要があるとは考えない」と答弁していました。


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