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2022年3月6日(日)

主張

文科省の実態調査

教員の定数増は待ったなしだ

 文部科学省は、全国の公立学校の「教師不足」に関する実態調査結果を初めて発表しました。2021年4月の始業日時点で小中高校、特別支援学校で2558人の教員が未配置となり、5月1日時点でも2065人が未配置という深刻さです。(1月31日公表)

 学校に行っても受けられない授業がある、担任の先生が決まらないなどあり得ないことが起きています。しかも、21年度に突然生じたことではなく、2000年代以降慢性化している構造的な問題です。ここにメスを入れる真剣な対策が求められています。

背景に異常な長時間労働

 教員の未配置が生じる最大の原因は、平均勤務時間が1日約12時間という異常な長時間労働にあります。精神疾患の休職者が毎年5千人を超えるなど、病休や中途退職に追い込まれる教員が後を絶ちません。さらに本来必要な教員まで非正規教員の大量採用でまかなうため、病休等の代わりが見つからなくなりました。

 欠員が出た学校では残った教員に負担がしわ寄せされ、ドミノ倒しでさらに教員が倒れることも少なくありません。2学期、3学期と進むほど病休などが増え教員不足は加速します。年度当初の文科省調査は氷山の一角です。

 こうした長時間労働は、小学校の教員採用倍率が3年連続で最低となるなど学生が教職を避ける傾向すらもたらしています。

 長時間労働の解決には二つのことが急務です。

 第1は、なによりも教員を増やすことです。1日に受け持つ授業数でみた現在の教員定数は、教職員定数を定めた義務教育標準法の制定時と比べ2割も足りません。ここを放置し続けているから政府が何回も「働き方改革」を言っても成果が出ないのです。

 第2は、教員の負担を可能な限り減らすことです。特に政治が「教育改革」の名で不要・有害な負担を学校現場に課すことを直ちにやめることです。全国学力テストや教員評価、行政研修の増加など教員と子どもを追い立てる「教育改革」が現場を苦しめています。

 多忙化の要因の一つだった教員免許更新制度(09年導入)は、退職教員などの免許を失効させ代替教員の確保をきわめて困難にしたため、廃止せざるを得なくなっています。中学・高校の教員にとって切実な部活動の負担を解消する本格的な手だても必要です。

 日本共産党は小中学校で9万人の教員定数増を計画的に進め、同時に少人数学級を推進することを提案しています。教員の安定確保のためにも非正規教職員の正規化と待遇改善は待ったなしです。

正面から取り組む政治に

 新型コロナウイルスの感染拡大で子どもたちへのきめこまかな支援が求められているにもかかわらず、岸田文雄政権は22年度に公立小中学校の教職員を3302人も減らそうとしています。教員免許更新制度の廃止と引き換えに、教員の研修受講履歴の記録と管理を教育委員会に義務づけ、教員への統制を強める法案も今国会で通過させようとしています。これでは学校現場の疲弊と教職の魅力低下は拍車がかかる一方です。

 日本共産党は、こうした教育改悪と正面から対決し、教員増に取り組む政治を実現するために全力を挙げます。


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