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2022年3月1日(火)

主張

ロシア核特別態勢

破滅の危険高める威嚇やめよ

 ロシアのウクライナ侵略に国際的な抗議、制裁の動きが強まっている中でプーチン・ロシア大統領が核戦力を念頭に「抑止力を特別態勢に移行」させるよう命令しました。核兵器の先制使用も辞さないと述べたことに続く危険きわまりない行為です。

 核兵器の使用がもたらすのは、広島、長崎への原爆投下が示しているように大量無差別の殺人、破壊です。核戦争に勝者はいません。ロシアは人類全体に破滅的結果をもたらしかねない核戦争の脅しをやめ、直ちにウクライナから軍を撤退させるべきです。

先制使用の脅し重ねる

 プーチン氏は米欧の経済制裁を非難してこの命令を発しました。核戦力の態勢を実際の使用に向けて引き上げようとするものです。侵攻開始にあたっての演説では、ロシアへの通常兵器での攻撃に核兵器で対応する姿勢を示しました。いずれも、世界に対して核戦争も辞さないと宣言した最悪の威嚇です。

 核兵器の使用はもちろん使用の威嚇も、核兵器禁止条約で禁じられた違法な行為です。各国が対ロシア制裁を決めたのは、国連憲章と国際法を踏みにじったウクライナ侵略への対抗措置です。それに対応するために核兵器の先制使用で脅し、無法な行為を重ねています。一片の道理もありません。日本被団協、日本原水協や各国の政府、市民がロシアに抗議の声を上げています。

 プーチン大統領が先制使用のハードルを引き下げていることは重大です。2020年には核兵器の使用に関する指針に署名し、「国家の存続を脅かす、通常兵器を使った攻撃」を核兵器の使用条件の一つとしました。判断は大統領が行います。

 現にロシアはウクライナ侵略を前にした軍事演習で核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルの発射訓練を行っています。

 核態勢の強化を命令したことは、米国をはじめ他の核保有国との間で緊張を強め、核戦争が起きる可能性を高めます。国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)も「大惨事につながる誤算のリスクをさらに増大させる」と警告しました。

 今回の事態は、通常兵器での戦争が核戦争を誘発するおそれを現実のものとしています。非人道的な結末を絶対に引き起こしてはなりません。

 そのためにはロシアのウクライナ侵略をやめさせるとともに、核戦争に反対し核兵器廃絶を求める声を世界で上げていくことが急務となっています。

有害な抑止力への固執

 安倍晋三元首相が27日のテレビ番組の中で、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核シェアリング(共有)」について議論すべきだとしていることを見過ごすわけにはいきません。非核三原則を「タブー視してはならない」とも述べました。唯一の戦争被爆国の立場とは相いれない発言です。

 核抑止力論に固執することがいかに世界の平和にとって有害かがウクライナ侵略でいっそう明らかになりました。昨年発効した核兵器禁止条約の参加国を増やし、核保有国をさらに追い詰めて核のない世界を実現することがいよいよ重要になっています。


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