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2022年2月27日(日)

主張

内部留保への課税

大企業優遇やめ国民に還元を

 大企業が大もうけしても、内部留保が膨らみ続けるばかりで、国民は豊かにならない―この日本経済のゆがみをただすために、日本共産党は24日、大企業の内部留保に適正な課税をする政策を発表しました。税の不公平を改め、賃上げや気候変動対策などへの投資を促進させるための提案です。

5年間で10兆円の財源

 内部留保は、利益から株主配当や役員賞与などを差し引き企業内にため込んだものです。資本金10億円以上の大企業は、巨額の利益を蓄積させてきました。とくに、第2次安倍晋三政権以来の「アベノミクス」のもとで2012年から20年にかけて内部留保は130兆円も増え466兆円にのぼります。同じ時期に働く人の実質賃金は年収で22万円も減りました。

 内部留保が極端に増加しているのは、大もうけとともに、大企業優遇税制を一段と重ねたことが大きな要因です。安倍政権は、法人税率を28%から23・2%に減税しました。企業のための減税となる「租税特別措置」を倍増し、「連結納税制度」などを含め、もっぱら大企業向けの税制によって、大企業の法人税の実質負担率は、10・2%にすぎません。中小企業19・2%、中堅企業20・7%のおよそ半分です。

 日本共産党の「内部留保への適正課税提案」は、資本金10億円以上の大企業が12年以降に増やした内部留保額に対して、毎年2%、5年間で合計10%の時限的課税をするものです。このことで、毎年2兆円程度、総額で10兆円程度の財源が新たにできます。

 法人税を払ったあとに内部留保に課税するのは「二重課税」ではないかという議論がありますが、今回の提案は、この間の不公平な大企業減税で膨らんだ内部留保に着目したものです。二重課税というなら、消費税こそ所得税を徴収されたあとに買った商品などに課税されるものであり、それこそ問題にされなければなりません。

 内部留保課税は、これまでの大企業優遇税制をただすことにつながります。自公政権の下で、大企業には10年間で40兆円もの「減税効果」があったとされますが、このうち今回の課税で4分の1程度がさかのぼって是正できます。

 また、内部留保課税の対象から賃上げ額を控除することで、各企業に賃上げを促します。国内設備投資額も課税対象から控除することも必要です。企業内に滞留している巨額の内部留保を賃上げや気候危機打開に向けた「グリーン投資」などにつなげれば、日本経済の再生をはかる道を開くことができます。

日本経済再生させる力に

 10兆円程度の税収を活用することで、最低賃金を時給1500円に引き上げるために中小企業、中堅企業への支援をすることができるようになります。岸田文雄政権の打ち出す賃上げ減税は、黒字企業でないと適用できません。中小企業、中堅企業の支援には、赤字企業も負担している社会保険料の企業負担分を軽減することが必要です。内部留保課税は、大企業でも中小企業でも賃上げがすすむ土台をつくることができます。

 内部留保が膨張する一方で、賃金が上がらない経済をこれ以上続けるわけにはいきません。内部留保への課税は、日本経済の立て直しに向けた力となります。


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