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2022年2月24日(木)

所得税法等改定案に対する田村貴昭議員の反対討論(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の田村貴昭議員が22日の衆院本会議で行った所得税法等改定案に対する反対討論の要旨は以下の通りです。


 先日の本会議で岸田文雄首相は「新自由主義的な考え方により、格差や貧困が拡大するなどの弊害が明らかになった」と答弁しました。その弊害は法案によって拡大が懸念されます。

課税を棚上げ

 首相が総選挙で所得税の「1億円の壁」の改善を公約したにもかかわらず、金融所得課税の強化を法案に盛り込まず、棚上げしたことは、格差是正への逆行であり、重大な公約違反です。これが反対の第1の理由です。

 新型コロナウイルス感染症の影響のもとでも、近年の株価の上昇によってさらに所得、資産の格差は拡大しています。応分負担を求める所得税の改正を行うべきです。

 過去20年間で大企業の利益は約2倍、内部留保は約3倍、配当は17兆円増えて20・2兆円。政府は可処分所得が13・9兆円増えたといいますが、消費税増税による家計の負担増を差し引くと可処分所得の増加はほぼゼロです。10年間分の可処分所得を奪った消費税増税分を減税で国民に還元すべきです。中小零細業者や農家、フリーランスなどを廃業に追い込む消費税のインボイス制度は中止すべきです。

賃上げ回らず

 第2の理由は、財界の要望に応え、オープンイノベーション促進税制や5G導入促進税制など大企業減税の拡充・継続を盛り込んでいることです。政策効果も疑わしいまま、大企業に有利な減税措置を繰り返しても労働者の賃上げには回らず、配当や内部留保を拡大させるだけです。

 賃上げ促進税制は、導入された2013年度と比べて20年度の実質賃金が4・8%減少するなど、効果を上げていません。19年度の同制度の利用企業数は全国内企業の4・7%。約6割が赤字の中小企業に恩恵が及ばない同制度では貧困と格差の是正につながらず、大企業の内部留保を拡大させるだけです。賃上げ政策の根本的な転換を求めます。

 オープンイノベーション促進税制の対象のITや金融の大企業は高水準の利益を上げており、投資余力は十分あります。技術革新競争の投資は自らの経営判断ですべきです。5G促進税制は大手通信事業者の内部留保を積み上げるだけです。

 自民党政権が租税特別措置など大企業減税を繰り返すことによって法人税は空洞化し、資本金100億円超の大企業や連結法人の実際の法人税負担割合は、法人税率23・4%に対し13・0%です。新自由主義の弊害の是正を言いながら、実際は大企業優遇税制の拡大・継続をさらに図るものです。


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