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2022年2月19日(土)

論戦ハイライト 本気で賃上げ図っているのか

衆院予算委 塩川議員の追及

公立保育園賃上げ わずか34自治体

人勧に基づく賃下げ撤回を

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(写真)岸田首相らに質問する塩川鉄也議員(左)=18日、衆院予算委

 日本共産党の塩川鉄也議員は18日の衆院予算委員会で、岸田首相の目玉政策である「公的価格」の見直しについて「やっていることが支離滅裂で、本気で賃上げしようとしているのか」と迫りました。

 保育士の賃金は全産業平均比で月額9万円以上低い(2020年賃金構造基本統計調査)のが実態です。政府は22年2月から9月の間、保育士などの賃金を月額9000円引き上げる処遇改善事業を進めています。

公定価格に左右

 塩川氏は「今回の取り組みでこの格差を解消するのか」と追及。岸田文雄首相が「女性保育士は全産業の女性の平均並みまで引き上がる」などと答弁しました。塩川氏は、女性の中での賃金格差の話ではなく男女一体での格差の解消を問うていると批判し「一桁少ないというのが現場の声だ」と指摘しました。その上で「本当に保育士の賃金は上がるのか」とただしました。

 保育士などの賃金は、国が定める「公定価格」に左右される仕組みとなっています。塩川氏は、保育士の賃金も公務員賃金に準じて算定されるため、22年度(21年度比)は公務員賃金が0・9%引き下げられたことが保育士の賃金に連動していると指摘しました。

 減額分に対応する額を上乗せしていると述べた岸田首相に、次のようにただしました。

 塩川 処遇改善事業を行う場合は穴埋め分も措置するとしているが、今回の事業を実施しないと、賃上げどころか引き下げられてしまうのではないか。

 野田聖子少子化担当相 夏の人事院勧告の状況を見つつ、10月以降も引き上げが維持されるよう対応を検討する。

 塩川 答えていない。本気で賃上げを図ろうとしているのか。政府の責任は重大だ。

800万人近く影響

 さらに塩川氏は、公立保育園で賃上げの動きになっていない実態を告発しました。

 処遇改善事業の第1回申請で、申請があった183自治体のうち公立保育園も賃上げするのは34自治体です。塩川氏は「5分の1しかない」と指摘し、自治体が賃上げに消極的な背景には、22年度地方財政計画で地方公務員の賃金にかかわる給与関係経費が減額されているからだと追及しました。

 岸田首相 予算・補助金等はしっかり措置している。まだ1回目。手続きの問題だ。

 塩川 答えていない。2600億円の処遇改善事業を行う一方で、22年度地方財政計画の給与関係経費は2709億円の削減だ。さらに昨年11月、総務副大臣通知で、地方公務員のボーナスも国家公務員にならって引き下げを行えと自治体に押し付けている。賃上げが進まないのは当然だ。

 塩川氏の批判に対し、岸田首相は否定できず、うなずくだけでした。塩川氏は、人勧が影響する労働者は800万人近くに及ぶことをあげ、「収入を上げるというなら、人勧に基づく賃下げを撤回すべきだ」と求めました。


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