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2022年1月27日(木)

国内人権機関設立を

入管死亡事件を受け 日弁連シンポ

 日本弁護士連合会は25日、昨年3月に名古屋出入国在留管理局でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件について、人権侵害の観点から検証するシンポジウムをオンラインで開きました。パネリストの支援者や弁護士が政府から独立した国内人権機関の設立を訴えました。

 ウィシュマさんに面会していた支援団体START(外国人労働者・難民と共に歩む会)の千種朋恵さんは、ウィシュマさんが帰国しない意思を示した後、何度も「帰れ」と言われるなど、職員の態度の豹変(ひょうへん)が体調悪化のきっかけだと振り返りました。「帰国同意書にサインしたら病院に連れて行ってあげる」などの職員の発言について、「生命や健康を危機にさらすことで帰国させようとしている」と述べました。

 千種さんはまた、死亡事件後も名古屋入管では、体調を崩した別の被収容者を大勢の職員で押さえ込み、気を失って目が覚めると「懲罰房」と呼ばれる部屋にいたという聞き取り事例を報告。仮放免可否の理由を示さないことなども挙げ、「入管は改善をアピールするが、実質は何も変わっていない。強大な裁量権で管理支配し、人権侵害や差別をしている」と批判しました。

 人権救済や監視の現行制度について、白承豪弁護士は「(収容施設の運用を視察する)入国者収容所等視察委員会は入管庁の総務課が管理し独立性がない。裁判は人権侵害が起こった後」と述べ、「国内で人権問題について調査、救済する機能を果たせるところは、今はない」と指摘しました。

 日弁連の「国内人権機関実現委員会」は国連が1993年に定めた「人権の促進及び擁護のための国家機関の地位に関する原則(パリ原則)」に基づいて国内人権機関をつくることを求めています。政府から独立し、申し立てがあれば人権救済のための措置をするほか、法執行者に人権教育を行います。昨年までに世界128カ国が同様の機関を設置しています。

 同委員である白弁護士は「日本は設置を約束したが実現していない。設置すれば、入管だけでなく全国の人権問題を調査し、責任をもって救済できる。政府がそれに拘束される構造になれば、日本の人権救済は実効性のあるものになる」と述べました。


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