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2022年1月5日(水)

ジェンダー平等へ 今年の動きと課題

 2022年は、ジェンダー平等の実現や女性差別の根絶に向け、性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)やDV(配偶者やパートナーからの暴力)をめぐる課題の前進が見込まれます。

中絶薬の実用化

 注目されているのが国内初となる人工妊娠中絶薬(飲み薬)の実用化です。昨年12月22日に製薬会社から承認申請され、早ければ年内にも薬事承認される見通しです。承認とともに、価格設定や処方(販売)方法が大きな焦点です。

 米NGOによると中絶薬は世界80カ国以上で使われ、性と生殖に関する女性の自己決定を支えています。国際的な平均価格は約780円。国際産婦人科連合(FIGO)は妊娠初期の中絶について、コロナ危機のもと、遠隔医療で中絶薬を処方し、自宅などで女性が自ら中絶する方法(自己管理中絶)の有効性、安全性が証明されたとして、各国政府に取り組みの強化を推奨しています。

 日本では、たとえ承認されても、医師の診察や入院が必須で、中絶手術並みに十数万円かかり、女性の自己決定権や安全に中絶する権利が制限される恐れが指摘されています。

 承認申請を機に、日本の遅れた実態が広く知られるようになっています。とりわけ、日本産婦人科医会の木下勝之会長が「10万円程度かかる手術と同等の料金設定が望ましいとする考えを示した」との報道(NHK)を受け、女性の権利を制限する姿勢だという怒りの声が拡大。「#経口中絶薬の高価格設定に反対します」の投稿が数千~数万の単位で拡散されています。

 インターネット署名も盛んで、三つの署名に計10万人超が賛同しています。昨年は通常国会でも、安全な中絶・避妊の実現などを求める野党の女性議員の質問がのべ16回に上り、日本でのリプロ確立が一大焦点となりました。今年も世論と運動、国会論戦が結んで、世界標準のリプロ保障を求める動きが加速するのは必至です。

DV防止法改正

 約2年にわたるコロナ危機のなか相談件数が急増しているDV(配偶者やパートナーからの暴力)の対策では、内閣府のワーキング・グループ(WG)が、DV防止法の通報・保護命令の対象に、精神的暴力や性的暴力を加える方針を示し、今年の通常国会に改正案が提出される見込みとなっています。

 現行の保護命令は、身体的暴力か生命に対する脅迫を受けたケースに限定。対象となる暴力の定義拡大を求める声は同法の制定時(01年)からあり、20年を経てようやく、当事者や支援者の要望が実る形です。

 他方で、被害者への接近禁止・退去の命令期間の延長や、被害者支援のための手厚い予算措置など課題も山積みで、政府のさらなる対応が求められます。

刑法の規定など

 刑法の性犯罪規定の改正をめぐっては、法制審議会(法相の諮問機関)部会での議論が続きます。昨年末の会合で、「暴行・脅迫」要件などの改正、「性交同意年齢」の引き上げなど各論の議論を開始。諮問された全10項目を3回に分けて検討し、その後2巡目の議論に入ることが確認されています。

 DV被害や経済的困窮、精神疾患など多様な困難を抱える女性を包括的に支援する新法の制定や、民法の「嫡出推定」の見直し・女性に対してだけ設けられている再婚禁止期間の撤廃などについても、法整備が進む可能性があります。

参院選の争点に 運動と結び奮闘

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 日本共産党の倉林明子ジェンダー平等委員会責任者の話 昨年は都議選や総選挙などを通じ、ジェンダー平等に関わる課題で、これまで黙り、黙らされてきた人たちが「声を上げて良いんだ」と気づき、行動する機運が広がりました。

 ジェンダー平等の政治・社会を求める流れは確実に前進し、政府はいろいろな分野で、これまで手つかずだった問題に着手せざるを得なくなっています。今年は一つひとつの課題を結実させていく年になるでしょう。

 夏の参院選でも、ジェンダー平等を再び大争点にし、選択的夫婦別姓の実現、男女賃金格差の是正、女性議員増などの課題を前に進めたい。各分野の草の根の運動と結んで奮闘する決意です。


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