しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年12月17日(金)

主張

衆院憲法審査会

改憲発議阻むたたかいが急務

 岸田文雄政権が発足して初めて衆院憲法審査会での議論が行われました。自民、公明、日本維新の会の議員からは自衛隊の明記、緊急事態条項の創設など改憲論議の加速を求める発言が相次ぎました。日本共産党の赤嶺政賢議員は「多くの国民は改憲を政治の優先課題とは考えていない。憲法審査会は動かすべきではない」と主張し、立憲民主党の議員は与党などの「改憲ありき」の姿勢を批判しました。いまやるべきことは憲法審査会で改憲案を取りまとめる議論ではありません。憲法に反する現実をただし、憲法を政治に生かすことこそが国会に求められます。

異常に前のめりな改憲派

 自民議員は、9条への自衛隊明記、緊急事態条項の創設など4項目の改憲案を示し、国会での審議をせかせました。維新議員は、来年の参院選と同時に改憲の国民投票を行えるよう、スケジュールを持った議論をと述べ、公明議員は、緊急事態条項の創設などのために、審査会の週1回の定例開催を、と強調しました。改憲派の議員の発言は異常な前のめりです。憲法の尊重擁護の義務(99条)を負う国会議員の発言なのかと怒りを禁じえません。与党とともに審議に積極的な国民民主党は危険な道に踏み込みつつあります。

 先の総選挙で自民、公明、維新の改憲勢力は改憲発議に必要な3分の2の議席を確保しました。岸田首相は、総選挙前から任期中の改憲実現を公言し、臨時国会の所信表明演説でも「憲法改正」について独立した章を立てて、国会での積極的な論議を呼びかけました。自民党はこれまでの「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改組して、改憲への世論喚起をはかろうとしています。岸田首相は14日の維新議員への答弁でも、「憲法改正への思いは、決して(安倍晋三元首相に)後れをとっていない」と執念を隠しません。

 自民党は安倍元首相の時から、憲法9条への自衛隊の明記、緊急事態条項の創設などの案を示し、憲法審査会での改憲案づくりを目指してきました。9条に自衛隊を明記すれば、戦力不保持・交戦権否認の規定が空文化し、自衛隊が何の制約もなく海外での戦争に参加できます。現在の憲法にはない緊急事態条項の創設は、国民の人権を制限するもので、9条改憲と合わせ「戦争する国」づくりが目的です。

 安倍政権以来の改憲策動が思い通り進まず、行き詰まったのは、国民の多くが改憲を望まず、憲法を変えるより、憲法を守り生かすことを求めているからです。国民が今の政治に求めている政策項目を見ても、改憲は少数派です。主権者・国民が望まない改憲を持ち出し押し付けるのは、最悪の立憲主義・民主主義の破壊です。

改悪許さぬ全国署名を

 岸田政権は明文改憲の企てだけでなく、歴代政権の憲法解釈を百八十度転換する「敵基地攻撃能力の保有」など憲法破壊の大軍拡も狙っています。「戦争する国」を許してはなりません。

 「9条改憲ノー! 全国市民アクション」は、「憲法改悪を許さない全国署名」を呼びかけています。日本共産党は、来年5月3日を節に、1000万人の規模で署名を集めることを目指します。国会での改憲発議を阻止し、憲法を守り生かし実現する政治のために、力を合わせようではありませんか。


pageup